知恵の和ノート
不安な時こそ後ろ向きで考える(第335話)
現状に大きな不安を感じる際には、理想の状態からの後ろ向き思考で現状を把握する。
問題解決に取り組む際、通常は
現状を把握する
↓
理想を設定する
↓
ギャップを埋める
という順番で行います。
例えば、
- 現状の姿:社員が社長の顔色ばかり見て自主的に行動しない
- 理想の姿:社員が主体的に動いて自走する組織にしたい
だったとします。
この現状と理想の間には大きなギャップがあるので、その要因を深掘りしていきます。
仮に、要因の一つが「会社で経営理念を定めているけれど、綺麗ごとばかり書いてあって、誰もその理念を正確に覚えていない」ことであれば、「社員も腹落ちするような経営理念を作る」のが解決策になります。
もちろん、「社員が指示待ちである」といった大きな問題では要因は一つではありません。
しかしながら、
現状を把握する
↓
理想を設定する
↓
ギャップを埋める
というプロセスをその要因一つひとつに対して愚直に実践していくことで、理想の姿に一歩ずつ近づくことができます。
一方で、昨今のように「なかなか先が見通せないので不安だ」「現状の課題が大きすぎてどこからどう手をつければ良いのか分からない」といった状況では、最初のステップである現状を把握する段階で止まってしまう危険性があります。
その際には、通常の形ではなく
理想を設定する
↓
ギャップを埋める方法を考える
↓
現状を把握する
という未来から始めて現在に戻ってくる後ろ向きの考え方の方が役に立ちます。
どうせ先行きが読めないのであれば、そもそも論として
- どういう会社にしたいか
- どのくらいの売上高を確保したいか
- お客様からどんな会社と言われたいか
という理想を最初に設定します。
この時、今の会社の現状に囚われる必要は一切ありません。しがらみに囚われずに自由に発想することがポイントです。
そして、「その理想を実現するためにはどうやったらよいかを理想の姿から逆算して考える」のが第二のステップ。
仮に「5年後の売上高を30億円にしたい」の理想だとします。現在の売上高が5億円とすると、普通は「今5億円だから、あと25億円をどうやって増やすか」というふうに考えます。
この場合、今まで30億円という売上高を経験したことがない場合は、どうしても現状の姿に引きずられてしまい、思考が途中でストップしてしまう可能性があります。
そこで、後ろ向き思考では、現状は一旦無視して売上高30億円だったら、
- 社員は少なくとも50人は必要
- 商品ラインアップを20個揃える
- インターネット経由で5億円を売る
- 広告宣伝費に3億円ぐらいはかけたい
- 自分の右腕になる人が3人欲しい
というように想像します。
そして、「理想の姿を実現できるイメージが自分なりにできた段階で初めて現状を把握する」という感じです。
社員:現在10人→40人増やす
商品:現在5個→15個増やす
インターネット販売:現在0円→新規立ち上げで5億円
広告宣伝費:現在3,000万円→10倍に増やす
右腕になる社員:現在0人→3人を育てる
現状の課題は上げだすときりがありません。特に不況で業績が落ち込んでいる際には、「あれもできていない」「これもない」とないものにどうしても目が行ってしまいます。
一方で、理想の姿から後ろ向きで現状を見た場合、優先して取り組むべき課題がハッキリする傾向があります。
不況の時こそ後ろ向きで考えましょう。
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