知恵の和ノート
複数の問題発生要因を特定して、より根深い問題解決に結びつける(第325話)
些細な問題をその場の問題解決で終わらせるのは成長が止まる会社
些細な問題をより深い問題解決の契機とするのが成長し続ける会社
「そんなメール来てましたっけ?」
弊社も参加しているあるプロジェクトでの出来事です。
次の打合せの日程を決めるため、取りまとめ役のAさんから「5月25日の14時でお願いします」とご連絡をいただきました。
これは当初の予定通りの日時だったのですが、私が気になったのは前日にメンバーのBさんからAさん宛に「A様、14時からの開始を15時に変更してもらえますか? B」というメールが入っていたことです。
全体の日程調整はAさんがやっておられるので、私はAさんとBさんとの間で調整が済み、最終的に当初の予定通りで決まったのだと解釈しました。
しかしながら、少し気になったので、念のためAさんに「昨日Bさんから時間変更のメールが来ていましたが、大丈夫でしょうか?」と確認しました。すると、Aさんから冒頭のご返事が来たのです。
では、実際なぜこのようなことが起こったのでしょうか?
実は日程調整の連絡はAさんから全メンバー宛にメールで送られていました。情報共有のため、私はAさん宛の返信メールを全員に返信という形で送ったのですが、その直後にBさんから「14時からの開始を15時に変更してもらえますか?」のメールが送られてきたのです。
そのメールを受け取った時、
- メールの宛先がA様だったこと
- メールの文章が短かく、わざわざメールを開かなくても全文が読める状態だったこと
から特に何もしませんでした。
そして、Aさんから冒頭の返事を受けてそのメールを確認したら、なんと、Bさんから送られたメールは送信先のメールアドレスが私だけになっており、Aさんには送られていなかったことが分かったのです(汗)!
最終的には再度日程調整して、Bさんも無事打合せにご参加いただけました。
では、もし、皆さんがAさんの立場だったら、今後の日程調整をどのように進めるでしょうか?
今回の件、日程調整で少しバタバタしたのは、コミュニケーションの行き違いに要因があります。
BさんはAさんにメールを送ったつもりでしたが、Aさんには連絡がいっていませんでした。一方の私もAさんへの連絡だとばかり思っていたので、特に送信先のメールアドレスまでは確認しませんでした。
Bさんが本来はAさん宛に送るべきメールを私だけに送った原因は
- 直前に私が送ったメールは全員返信メールだった
- Bさんは私とは違って全員返信メールではなく、個別返信にメールを送った
ことにあります。
この場合、「メールの返信方法」という点に着目すれば
- 必ず全員返信メールで送る
- 必ず個別返信メールで取りまとめ役の人に送る
のいずれかに統一した方がベターです。
でないと、またこのようなことが起こります。
私も自分が全員に返信でメールを送っているので、私に届いたBさんのメールもAさん宛の文面だったこともあり、全員に返信で送られたメールと思い込んでしまっていました。
一方で、そうは言っても、人数が多くなると、ルールを徹底するのが難しくなります。
この場合、「メールによる日程調整を止めて別のツールを使って日程調整を行う」のも一つの案です。
また、引き続きメールを使う際には
- 自分に送られてきたメールは必ず確認する
- その際、メールアドレスも必ずチェックする
を取り組み姿勢として注意喚起するという解決策もありです。
すなわち、参加者に当事者意識を持たせるということ。私の場合を振り返ってみると、最初にBさんからのメールを受信した時、「Aさん宛のメールだし、まぁいいかぁ」という気持ちが少なからずありました。
15時に時間変更になっても大丈夫だったのですが、「それをいちいちAさんにお知らせするのもかえって余計なお手数かもなぁ」という気持ちが働き、既読スルーしたのです。あの時、私がもう一歩踏み込み、当事者意識をより強く持って、Aさんに連絡しようとしていたら、「Aさん宛のメールが実は私だけにしか送られていなかった」ことに、もっと早い時点で気づいていたはずです。
さて、いかがでしょうか。
問題が起きた時の解決策は一つではありません。また、その問題が起きた要因も一つではありません。そして、普通は複数の要素が重なって問題が起こります。
先の事例は幸いメンバーの皆さんもお人柄の良い方ばかりなので、誰かの怒りをかうこともなく、打合せの日程調整という問題自体は無事解決しました。しかしながら、今後日程調整をどのように実施した方が良いかという問題については、これから決める予定です。
一見して些細に見える問題も、コミュニケーションの行き違いや当事者意識の不足という深い問題の一つの表れです。
些細な問題でも掘り下げると、いろいろな業務改善につながる芽が見えてきます。問題は細部に宿っています。
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