知恵の和ノート
業務の効率化を進める際にも、ライフタイムバリュー的な視点を取り入れる(第313話)
目の前の効率化に注力して、将来の業務の非効率化を生むのは成長が止まる会社
総合的な効率化に注目して、目先の非効率的な仕事を行うのが成長し続ける会社
既存で販売しているシステムを導入する際、やたらとカスタマイズした結果、あまり効率化につながらないということがあります。
汎用性のあるシステムであれば、通常製造元が適宜バージョンアップを行いますが、自社の特殊事情に応じたカスタマイズ部分が多いと、バージョンアップの際、不具合が出たりします。すると、会社側からも「これは使い勝手の悪いシステムだ」という評価が下され、せっかく投資して導入したシステムが途中で使われなくなったりします。
これは非常にもったいないことです。
ある程度実績のあるシステムであれば、他社の事例等も踏まえて、業務の効率化につながる基本的な型をベースにしています。
このため、もし、そのようなシステムを使って業務の効率化を図るのであれば、できるだけ基本的な型に合わせて、業務を見直してやり方をを変える方がベターです。つまり、本質的な価値につながるところは別にして、会社独自のやり方の部分は最小限にする方が市販のシステムを使う際には、効果的なのです。
一方、先日クライアントさんとの打ち合わせの際、あるサービスの料金表示について、「税込み表示か、税抜き表示か」ということが議題に上りました。
今後も消費税が変わりうることを勘案すれば、「税抜き表示を原則として、税率を適宜変えることで税込み表示の金額を計算する」という流れにした方がシステム的にはベターです。しかしながら、一部のお客様から「税込み表示にして欲しい」というご依頼があるため、現時点では、システム上税抜き表示のものと、税込み表示にものが混在していたのです。
この状況だと、将来消費税の引き上げがあった際にシステム上で一括変換して、新しい金額を提示するということができません。
打合せの結論としては
- 今後は税抜き表示を原則とする
- もし、税込み表示を希望されるお客様がいたら、税込み表示にこだわる理由を確認した上で、できるだけ税抜き表示にしてもらうよう交渉する
となりました。
この場合、お客様と直接交渉する営業担当者としては、今までよりも、ひと手間増えることになります。けれども、そのひと手間を惜しむことで、業務の効率化が進まなければ、会社全体で見た場合、将来にわたって非効率的な事務作業が残り続けることになります。
マーケティングでよく使われる言葉に、LTV(Life Time Value):ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)があります。
1回の取引だけの利益を考えるのではなく、将来にわたって、総合的にいくらの利益が上がるのかを考慮するというもので、最初にかける広告費等の金額を決める際の基準となります。すなわち、「損して得取れ」ではありませんが、最初に損が出ても、トータル的にプラスになればOKという訳です。
業務の効率化においても、同じように、最初に手間をかけても、将来的に業務効率化につながって、トータル的に手間の削減やコストの削減になればOKです。
システムを導入する際、既存の業務の見直しをせず、カスタマイズする項目をむやみやたらに増やすと、トータル的には業務の効率化につながりません。また、お客様との交渉で手を抜いて、お客様の要望を鵜呑みにして、すべて受け入れていると、事務作業で非効率的な要素が残ったままになる恐れがあります。
業務効率化を進める際にも、ライフタイムバリュー的な視点を取り入れて手間をかけるべき所は最初にしっかりと取り組みましょう。
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