知恵の和ノート
社員の行動なくして会社の売上なしという事実を受け止める(第312話)
社長が自らの正論だけで社員を動かそうとするのは成長が止まる会社
社長が傍論にも耳を傾けて、社員の行動を促すのが成長し続ける会社
正しいことを教えるという延長線上に売上アップはない。
社長の行動以外に売上は生まれない。
先日参加したセミナーで、発表者のお一人が主催者であるコンサルタントの先生から学んだことの一例として紹介されていました。
コンサルティングのような仕事は、クライアントさんが成果が出してなんぼの世界です。このため、いくら正しいことを伝えても、クライアントである社長が行動しなければ、何の結果も生まれません。まさに、社長の行動にどうつなげていくかが鍵であるというお話はすごく腑に落ちました。
それと同時に、ふと頭に思い浮かんだのが「これって、社長と社員との関係でも同じでは?」ということです。
社長がいくら正しいことを社員に教えても、それだけでは売上アップにつながりません。
社員がその指示を踏まえて、自ら行動しない限り、売上は生まれません。
ある程度社員のいる会社においては、社長一人がすべての売上を上げている訳ではありません。営業部長や営業担当など、社員が一定の売上を担っています。
社長が彼らに対して、「お客様の立場に立って考えてみろ」「ウチの商品のベネフィットをきちんと伝えよう」と正しいことを教えても、社員がその言葉を理解し、腹落ちして「じゃぁ、やってみよう」と行動しない限り、売上アップにはつながらないのです。
社員の行動を促すためには、いろいろな方法があります。
- 給料に反映させる
- 昇格・昇給させる
- 評価基準を変える
しかしながら、昨今は、多少給料が上がったくらいでは、やる気につながらないケースが増えています。また、責任が増えることを嫌がって、「今度課長に昇格させるから頑張って」と上司が伝えたら、「会社を辞めます」と部下が辞表を出してきた事例もあります。
一方、評価基準を変えることで、ある程度社員の行動を変えることはできます。けれども、その評価基準の背景に首尾一貫したものがないと、かえって混乱をきたすこともあります。そして、人事評価の場合は、その性質上、「できたら〇だけれど、未達の場合は×」となるので、どうしても条件付きの承認になります。
そのため、我々は、社員の行動を促すための手順として、クライアントさんにお伝えしているのは、「社員を一人の人間として尊重する」ということです。
昔と比べると、人の承認欲求は確実に高まっています。つまり、「自分を認めてほしい」と日頃感じている人は増えています。そこで、求められるのは、まず「社員の存在価値そのものを認める」という姿勢です。言葉を変えると、「〇〇をやったから認める」というのではなく、無条件で相手の存在そのものを認めるということです。
しかしながら、これは言葉で言うほど簡単なことではありません。特に、社員の行動に満足していない社長にとっては、「こっちが給料を払っているのに、あんな仕事振りで一人の人間として尊重しろって言われても」と感じる方も多いのではないでしょうか。
まさに、「正しい」ことではあるけれど、それだけでは行動につながらないのです。
そこで、その前段階として、我々は「価値観の基準の違いを受け入れる」ことをお薦めしています。
親子や兄弟でも価値観が違うのに、ましてや他人である社員と価値観がぴったり一致するということはありえません。したがって、その価値観の違いに納得いかなくても、「あの社員とは価値観の基準が違うから」という事実を受け止めることが必要になってきます。
社員は社長が想像している以上に、社長のちょっとした言動に反応します。
社長が少なくとも「価値観の基準の違いを受け入れてくれている」ことが分かれば、社員にとっては安心材料。行動という変化を促すために、まずは安心の場を意識して提供しましょう。
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