知恵の和ノート
事業計画の成否は社長が一番力を発揮できるイメージ次第(第306話)
社長の力と会社の事業計画の中味がアンバランスなのは成長が止まる会社
社長が力を発揮できる姿を事業計画に反映しているのが成長し続ける会社
渋沢栄一のお孫さんにあたるエッセイストの鮫島純子さんによると、日本の資本主義の父とも言われる渋沢栄一は事業を計画する時の心得として、
1.事業が道理正しいか
2.時勢に適しているか
3.人の和を得ているか
4.自分の分にふさわしいか
をあげていたそうです。(「理念と経営」2020年1月号参照)
4つとも「なるほど!」と思わせるものばかりですが、意外と難しいのが
4.自分の分にふさわしいか
です。
なぜなら、他の3つは第三者から客観的なアドバイスをもらったり、自分でも比較的冷静に判断できたりするのに対して、自分の分にふさわしいかどうかは、「自分の分」そのものが本人も分かっていないことが多いからです。
最終的には「自分の分はこうだ!」と自分で心底納得していないとダメですし、時には一般的な基準に振り回されて、「自分の分」を間違って解釈したりします。
「会社は経営者の器以上に大きくならない」といったこともよく言われますが、売上100億円の会社の経営者の器が売上1億円の会社の経営者の器よりも大きいとは限りません。
また、社員3,000人の企業の社長は社員5人の中小企業の社長より尊敬される場面は実際には多くても、その社長個人の「分」とは直接的なつながりはありません。大企業のトップでも器の小さい人もいれば、社員5人の会社であっても、人間的にもビジネス的にもたいへん素晴らしい社長さんもおられます。
社長の「分」と会社の大きさは比例するように思われがちですが、それはあくまで一つの価値判断の基準に過ぎません。そして、経営者本人が「自分の分はこうだ」という確信がないと、自分自身に対して必要以上に過大評価や過小評価が生まれます。
弊社では
- 自我=自分から見た自分
- 自己=他人から見た自分
をできるだけ近づけましょうということをよくお話しています。
この場合、他人から見た自分である「自己」は自分ではコントロールできません。このため、必要以上に気にする必要はありませんが、「人からは自分はこのように見えているんだ」と素直に受け入れられるかどうかが鍵になります。
自分のことを過大評価している人の場合、他人から批判めいたことを言われると、「どうせあいつは何も分かっていない」と逆ギレしたり、「あの人はどうして分かってくれないんだろう」と必要以上に落ち込んだりします。
一方で、自分を過小評価している人の場合、「すごいですね!」「素晴らしいです!」と第三者から認められても、それを素直に受け入れずに「でも、ここができていないんだけど」「ただのお世辞じゃないの」と考えてしまって、せっかくの評価も自信につながりません。
そこで、「自分の分」を分かるためには、自分が一番力を発揮できる姿を自分のセルフイメージとすることがお薦めです。
「セルフイメージ=自分が一番力を発揮できる姿」と捉えることは自分の中だけで完結できます。また、仮にそのセルフイメージと現実の姿との間にギャップがあったとしても、その姿を想像することで自分が今よりも力を発揮できるなら、自分もハッピーだし、お客様にもその力で貢献できるので、喜ばれます。
そして、このようにセルフイメージを捉えることができたら、他人の評価によって、セルフイメージが上がったり、下がったりすることはありません。その結果、セルフイメージが安定して、自我と自己を近づけることにもなります。
なので、僭越ながら、渋沢栄一の説いた心得を私なりに言い換えると、「事業を計画する時の心得の一つは自分が一番力を発揮できる姿になっているかどうか」です。
新しい年を迎えて、あなたの立てた事業計画は自分が一番力を発揮できる姿をちゃんと反映しているでしょうか?
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