知恵の和ノート
社長は育った環境を主体的に活かして、会社の成長につなげるべし(第301話)
育った環境を言い訳にして、業績の低迷に拍車をかけるのは成長が止まる会社
育った環境をバネにして、業績の向上を更に加速させるのが成長し続ける会社
社長の価値判断の基準を言語化するプロセスの中で使う概念の一つが、「ある人」と「ない人」。ただし、この「ある」、「ない」はあくまで本人にとって主観的なものです。
生まれた家が裕福で、お金がたくさんあったとしても、本人が「欲しいと思ったお金がない」と感じれば「ない人」になり、ご両親が忙しくて、子供の面倒をみていなかった場合でも当人が寂しいとは思わないで、「親からの愛情がたっぷりある」と感じていれば、「ある人」になります。
そして、
- ある人:あるものを他の人にも分け与えることで力を発揮する
- ない人:ないものを欲しいと感じたり、ないものを新たに作りだしたりすることで力を発揮する
となります。
例えば、「愛情たっぷり受けて育った人が他の人にもやさしくする」「貧乏から早く脱却したいから、一生懸命働いて大金持ちになる」というのは、まさに力を発揮している事例です。
一方で、
- 愛情たっぷり受けて育てられたので、我が儘になり、他人に傲慢な人になる
- お金がないことをひがんで、卑屈な人になる
というケースも実際には多いです。
つまり、育った環境(ある・なし)を活かせるか、どうかは人によるという訳です。
実は先日ある地方の都市に出張に行きました。
人口が63,000人弱の小さな市なのですが、創業して100年を超える企業がたくさんあることにびっくりしました。そして、4代目や5代目にあたる後継社長が既存の事業を大切にしつつ、新たな事業にも果敢に挑戦されていることにすごく感銘を受けたのです。
若手経営者のお一人に「なぜ、この市には100年超の老舗企業が多いのでしょうか?」と質問したところ、「ここは災害による被害がほとんどないから」というご回答でした。
海あり、山あり、川あり、田んぼや農園あり。典型的な田舎の風景が広がっている地域なのですが、海は比較的穏やかで、隣りの県に大きな被害をもたらす台風が来ても、災害になることはほとんどないそうです。これは地形がいろいろと関係しているようですが、土地としては、かなり恵まれた場所であり、ある・なしで言えば、いわゆる「ある」場所になります。
しかし、先ほどの「育った環境(ある・なし)を活かせるか、どうかは人による」という考え方からすれば、「ある」場所だからと言って会社が順調に育つということではありません。その恵まれた土地にあぐらをかいて、持っている資産を食いつぶしているケースだってあります。けれども、そこに安住することなく、積極的にイノベーションを起こそうとする人が多いのはなぜなのか。
今回は時間的な制約もあって、社長さんたちのプロファイリングをする機会はありませんでした。もし、次に訪問する際、社長さんたちのプロファイリングをやって、そこに何か共通する要素を見つけることができたら、ある人がその恵まれた環境を活かして、会社の持続的な成長につなげる秘訣が見つかるかもしれないと感じた次第です。
そして、その秘訣をある程度検証することができたら、このコラムでもお披露目したいと思います。
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