知恵の和ノート
トップダウンとボトムアップのかけ算で手間ひまかける仕事に取り組む(第300話)
経営理念からのトップダウンで一貫性を持たせ、お金からのボトムアップで下支えすることで、手間のかかる仕事に経営資源を集中することが会社の成長の源泉となる。
業務改善を進める際に、必ず確認するのが会社の経営理念。
今やっている業務をそのまま続けるか、いったん終わりにするのか。また、続けるにしても、やり方をどのように変えていくのか。選択肢がいくつかある中で、最終的な決め手になるのは、「会社の経営理念に一番沿っているのはどれか」になります。
「業務改善=業務効率化」と捉えている人もおられますが、前提となるのはあくまで、「会社として手間ひまかけてやる仕事は何か」です。
手間ひまかかる仕事は、効果が出るまでに時間がかかるし、お金も余分にかかるために、誰しもが敬遠しがちです。このため、手間ひまかかる仕事をやり続けることができれば、それは自然と差別化要因になります。そして、効率性という点では分が悪いために、手間ひまかかる仕事は会社の経営理念としっかり結びついている必要があります。
弊社では、最初の3ヵ月で社長のプロファイリングを行う際、毎回のセッションの後、セッションと同じぐらいの時間をかけてフィードバックシートを作成しています。これは効率性という点ではかなり非効率な仕事です。
しかし、「自力を紡いで、会社の品質を上げる」という弊社のミッションから考えると、大事な「自力」を見つけ出すプロセスなので、手間をかけて続けています。
つまり、業務改善を進めるためには
経営理念を確認する
↓
経営理念に沿って、手間ひまかけてもやり続ける仕事を決める
↓
それ以外の仕事を見直して、業務効率化を図る
↓
捻出できた経営資源を手間ひまかける仕事に集中投下する
というのが、本来進めるべき手順になります。
これは経営理念からのトップダウン方式によるアプローチです。
一方で、会社として事業を続けていくためには、お金が回る、すなわち、資金繰りが回る必要があります。
いくら社長が「これは手間ひまかかる仕事だけれど、経営理念につながるものだから優先してやろう」と思っていたとしても、「年末の資金繰りがギリギリでやばいかも」という状況では、腰を落ち着けて大事な仕事に集中することはできません。このため、他社との差別化を図るために、手間ひまかかる仕事に集中して取り組むには、キャッシュフローをしっかり回していくことが欠かせません。
そして、キャッシュフローを回すためには、下からのアプローチ、すなわち、手元に残すお金から逆算して売上高を算出して、それを目標とする活動が必要です。
つまり、
手元に残すお金の金額を確定する
↓
そのお金を残すために必要な利益を見積もる
↓
その利益を出すために必要な費用を計算する
↓
最終的に必要となる売上高を算出して、それを目標に活動する
という流れです。
多くの企業では、目標とする売上高を最初に決めて活動しています。けれども、会社にとって必要なお金、利益、そして、かかる費用はほぼ正確に把握できるのに対して、売上高は相手先のあることなので、変動要因が大きいという特徴があります。
弊社でも、今月からスタートする予定だった案件が先方のご都合で年明けからの開始に変わりました。
このような場合、当初今月末に目標としていたお金を手元に残すためには
- 別の見込み客に営業して売上を上げる
- 今月購入予定だった機械を来月購入に変更して費用を抑える
- 銀行からお金を借りる
といった動きが必要になってきます。
そして、これらの変化に応じた柔軟な動きは、売上高から決めていく上からアプローチでは後手後手になる傾向にあります。したがって、手間ひまかける仕事に取り組んで、他社との差別化を図るには、お金をベースにしたボトムアップ方式のアプローチも欠かせないのです。
つまり、「経営理念からのトップダウン×お金からのボトムアップ」が成立してこそ、会社は持続的に成長していける。
これが専門コラム300話時点で辿りついた我々の結論です。
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