知恵の和ノート
人手不足の時代を切り開く鍵は会社の教育産業化にあり(第296話)
人手不足を甘く見て、社員教育を疎かにするのは成長が止まる会社
お金と手間をかけて、社員教育を磨き続けるのが成長し続ける会社
そもそも人口が少ない。
学生が卒業後は県外に出たがる。
他社に転職しづらい。 etc.
都道府県の中で一番人口が少ない鳥取県の企業を訪問するツアーに参加した際、お話をお聞きした経営者さんから出てきた言葉です。
人口の減少は日本全体の課題ですが、中でも地方ではその影響が顕著に表れています。このため、地域密着や地域振興を目指して日々奮闘されている経営者はあの手、この手で様々な取り組みを実践されていました。
あるIT企業では、本来であれば理系出身の学生を採用したいところですが、母数が少ないという現状に直面しています。このため、文系出身の学生も採用し、1年間かけて、プログラミングなど、システム開発の基礎を学ぶ教育制度を導入されています。
また、別の企業では、県内でいちはやく2週間の連続休暇制度を導入したり、毎月社長塾を開催して、挨拶の仕方など、社会人として必要とされる知識を身につけるような仕組みを確立されていました。
会社としては、できれば即戦力として使える人材を採用したいのはどこも同じです。けれども、そもそも人口が少ない地域においては、即戦力うんぬんと言っておられない状況です。
このため、会社に入ってくれた社員をいかに育てるかといった点では、都心よりも地方の方がより切実であるのを感じました。
学校の場合は、教えてもらう側がお金を払って知識やスキルを身につけます。一方で、会社の社員教育の場合、社員は給与というお金をもらって、知識やスキルを身につけるということに対して、違和感を覚える経営者もおられるかと思います。
けれども、たとえ違和感を感じたとしても、人手が少ないという問題に対して、何らかの手を打たなければならないことに変わりはありません。このため、これからの日本は、社員に給与を払いつつ、社員をしっかりと教育することが必要不可欠です。
学校における教育の場合、正解のある問題を解く知識やスキルを身につけさせることが一つの成果になります。
しかしながら、会社の場合は、正解のない問題を解く知識やスキルを社員に身につけてもらうことが一つの成果です。
しかも、年齢的には学生よりも上であり、経験や知識レベルもバラバラな社会人に対して、「正解のある問題を解く→正解のない問題を解く」というマインドセットを理解させながら、知識やスキルを習得させることは、本気で、かつ長期的に取り組む覚悟がないと絶対にできないことです。
けれども、この課題を克服しない限り、日本は成長を加速することができません。
社員にお金や時間を投資することは、費用対効果、時間対効果の点では、かなり効率の悪い投資です。しかしながら、この効率の悪い投資にどれだけ手間ひまをかけられるかによって、その後の会社の成長スピードも大きく変わります。
1年間新入社員には仕事をさせずに、社員教育だけに専念している会社では、語学力を身につけさせるために、短期間の海外留学制度も実施されています。中小企業で、なかなかそこまで投資できる会社は少ないかもしれません。
しかし、その会社の経営者のお話をお聞きして感じたのは、「社員教育に対する本気度の高さ」です。
本来であれば、家庭での教育や学校での教育で社会人として働くための基礎知識や最低限のスキルが身についているのが理想。でも、その理想とはほど遠い現実に対して、会社は指をくわえて、黙っている訳にはいきません。
会社を一つの教育産業として捉え直す。
それがこらからも人手不足が続く日本において、会社が生き残っていくための戦略となります。
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