知恵の和ノート
価格競争を回避する施策が新たな価格競争を生む愚を避ける(第293話)
マーケティングの原則の儲けだけに着目して行動するのは成長が止まる会社
マーケティングの原則に加えて理想の世界を訴求するのが成長し続ける会社
1本100円の水を10,000円で売るにはどうしたらよいか?
初心者向けマーケティングでよく出される問題です。
「街中では1本100円でしか売れなくても、水のない砂漠に行ったら、1本10,000円でも売れる」ことが正解と言われています。
この問題で伝えたいことは
- 商品はできるだけ高く売るのがベター
- 商品は需要のある先に売ろう
- 商品を欲しい人は高くても買う
です。
これらはビジネスの基本。
特に中小企業の場合、価格競争に巻き込まれるのを避けて価値ある商品をできるだけ高く買ってもらうことを常に考えなければなりません。
一方で、実際に定価1個100円の商品を10,000円で売るかどうかは別問題です。
もし、水の入ったペットボトルを砂漠で売る場合、輸送費等がかかるので、都心と同じ価格で売ると採算割れになってしまいます。このため、販売価格を100円よりは上げざるを得ませんが、それを150円にするのか、1,000円にするのか、はたまた5,000円にするのかは、その会社のビジネスに対する取引姿勢によります。
商品を欲しい人は高くても買うのは事実であり、水を10,000円で売ることは可能かもしれません。しかし、ライバル会社が現れて、1本5,000円で売り出したら、特に水のように差別化がしにくい商品の場合、たちまち売上が減る恐れがあります。
結局のところ、需要があるところに高く売るのは、ビジネスの原理原則としては正しいけれど、それだけでは事業を長く続けていくのは難しいということになります。なぜなら、それは、突き詰めていくと、単に儲かるからやることになるからです。
別にそれ自体が良いとか悪いとかではなく、一見、価格競争を回避できているように見えても、実は価格競争に巻き込まれるリスクがあることを自覚しておく必要があります。
先の砂漠で水を売る事例で言えば、1本10,000円の水はライバル会社が1本5,000円で競合商品をぶつけてくると、売れなくなる恐れがあります。
けれども、例えば「我が社はこの水で得た利益で、この砂漠に水を貯めておけるオアシスを作ります!」というビジョンがあれば、どうでしょうか?
少なくとも、お客様の中には「それだったら、高いけれど、アンタのところから水を買おう」という人が出てくるはずです。
マーケティングでよく言われている原則は理論的、経済的には正しいものがほとんどです。
そして、それをどのように活用するのかは使い手次第に委ねられているところがあります。つまり、学んだ後で、何をどう使うかは本人の姿勢によります。
詐欺グループの手口を見ていると、人の心の綾を巧みについているのがよく分かります。もちろん、詐欺は犯罪ですが、商売においても、法律には違反していないけれど、どこまで何をやるのかは会社の基本姿勢の部分。
需要のあるところに高く売ることに加えて、あなたの会社では、どのような世界の実現を目指しているでしょうか。
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