知恵の和ノート
社員に安心を与えつつ、更なる成長を促すためのポイント(第291話)
社員を過度に甘えさせて、安心の場が成長の壁となるのは成長が止まる会社
社員を適度に緊張させて、安心の場が成長の底となるのが成長し続ける会社
「社員に安心の場を作るというのは理解できるが、かえって社員を甘やかすことになるのでは?」
我々が「社員が安心できる場が必要です」とお伝えすると、よくいただく質問です。
もちろん、「安心」と言ってもいろいろな意味があります。
例えば、「今月はお給料がもらえるかどうか分からない」というように、会社の資金繰りが不安定な状況では社員は安心して働けません。
一方で、業績も安定していて、「給料も賞与もそれなりに出している」「社員旅行など福利厚生も充実させている」のに、社員が安心していないという状況があります。
このような場合、「昇格・昇給させる」「給料をさらに上乗せする」「新たな福利厚生を検討する」などの施策を打っても、社員の不安が大きく解消されることはありません。
逆に、あまり自覚も実力も備わっていないのに下手に昇格させたりすると、かえって社員を甘やかす結果になります。
社員の立場から見た時の安心材料は「自分は会社からちゃんと認められているんだ」と実感できることです。
特に中小企業の場合、「会社の評価=社長の評価」なので、「自分は社長からちゃんと認められているんだ」と感じることができたら、社員はすごく安心します。しかしながら、社長としては自分の考えていた通りに働かない社員に対して、そうそう甘い顔を見せる訳にはいきません。
そこで、冒頭のご質問があった際に、最近我々がその解決策としてご提示しているが、ダブルスタンダードを採用するということです。
中小企業の場合、会社の評価と社長の評価が混然一体となっているのが大半です。一方で、社長も人間ですから、社員からは嫌われたくないですし、かと言って社員が人の甘さに付けこむのは良い気はしません。
なので、ダブルスタンダードとして
- 会社の評価=今よりもレベルアップを図るべく、社員を厳しい基準で評価する
- 社長の評価=社員を一人の人間として、やさしい気持ちで承認する
のが一つのポイントです。
安心の場との関係で言えば、社長が社員を一人の人間として認めているというのが安心のボトムラインになります。
つまり、仕事で社員が成果が上がらない時に
- 会社の評価=会社の定めた信賞必罰の基準で評価する
- 社長の評価=成果が上がらないのも、その人の個性として受けとめる
ことになります。
言い方を変えれば
- 会社の評価=条件付きの承認
- 社長の評価=無条件での承認
です。
また、弊社で力を入れているコアコンセプト(深層価値観)との関係で言えば、
- 会社の評価=コアコンセプトの表を発揮すれば評価される
- 社長の評価=コアコンセプトの裏であっても認められる
です。
混然一体となっているものを分けるのはけっして簡単なことではありません。
特に社長の場合、会社のトップである立場と社長個人という一人の人としての立場の両方があるので、よほど器用な人でないと、なかなか切り換えのスイッチをスムーズに押せません。
それゆえ、あえてダブルスタンダードを採用し、「会社としては評価しないが、社長個人として受け入れる」と言える姿勢を作り出すことで、社員に安心の場を提供しつつ、そこに甘えさせないという状況を作り出せると我々は考えています。
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