知恵の和ノート
受動的に目標設定する社員と間で余計な誤解を減らすためのポイント(第288話)
社長と社員とのギャップを正論だけで埋めようとするのは成長が止まる会社
社長と社員とのギャップを変化球を時折交えて埋めるのが成長し続ける会社
目標設定が大事と言われますが、目標には大きく分けて二種類あります。
- 主体的目標:自ら決断して設定する目標
- 受動的目標:他者に依存して設定する目標
そして、社員の場合、ほとんどが受動的目標です。
典型的なのが今期の売上目標。
「今期は半期で1億円の売上を上げます」と自主的に目標を決めていたとしても、会社全体の売上目標から考え、「自分はこれぐらいはやらなければ」と考えて設定だったりします。また、「この目標を達成すれば、部長になれるかも」という思惑が働いて決めた目標だったりします。
いずれにせよ、社長が決めた方針や会社の評価基準に依拠しており、仮に自主的に申告して決めたとしても、「心底これがやりたい」という熱意に基づく目標ではありません。
一方、営業の目標のように数字で決まった目標はまだ分かりやすいのですが、やっかいなのは「社長に褒められたい」「会社から認めてほしい」というように、自分以外の「他者に〇〇してほしい」といった受動的目標です。
目標ができたかどうかの基準が「自分が〇〇した」ではなく、他者の判断に委ねられているため、
- 自分は頑張っているのに、社長は全然褒めてくれない
- 自分よりもAさんのほうが会社からの評価が高い
といった状況が生まれます。
そして、この場合、「最終的に自分は〇〇したい」という主体的な目標がないことが多いので、会社の中で余計な誤解や不満が生まれる傾向があります。
本来であれば、社員一人ひとりが自ら主体的な目標を設定して、それに沿って自立的に仕事に取り組むのが理想です。けれども、幹部クラスの社員はともかく、全社員が自分の主体的な目標を自覚して動くというのは簡単にできることではありません。
では、数字で表しにくい受動的な目標をしか持たない社員が多い中で、余計な誤解や不満を減らすにはどうすればよいでしょうか。
一つには、褒められたい、認められたいと思っている他者の基準を明確にすることです。
社長が一人前と認める社員の基準や仕事として会社が評価する基準をハッキリさせることです。
たいていの場合、社員は自分なりの基準としては頑張っています。けれども、その自分の基準が社長や会社が想定している基準と大きくずれているので、お互いに不満を抱くのです。
また、解決策の二つ目は、客観的な視点を意識させることです。
受動的な目標の場合、自分の中に核たるものがないので、批判の目がどうしても、自分以外の第三者に向きます。この場合、正論を言っても、なかなか通じないことが多いので、「あなたはここができていないでしょう!」と指摘しても、本人は意固地になるだけです。
それよりも、「このような部下がいたら、Bさんはどう思う?」「この提案書をお客様が読んだら、ウチの特徴はどう伝わるだろうか?」というように、本人ができるだけ客観的な視点を持てるように、質問の仕方に一工夫する必要があります。
社長は主体的な目標が主になるので、受動的な目標が大半である社員との間ではどうしてもギャップが生じます。
その場合は、
- 社員が認められたいと思っている他者の基準を明確にする
- 客観的な視点を意識させる
ことを念頭に置いて、社員にかける言葉に工夫を凝らしましょう。
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