知恵の和ノート
社員の人事評価は会社が社員に伝えるメッセージ(第285話)
行動の評価基準だけを伝えて、社員を評価するのは成長が止まる会社
行動の基になる考え方も含め、社員を評価するのが成長し続ける会社
社長が社員を評価する際、「どのような仕事をしたのか」が中心となります。
- 売上を1億円上げた
- 経費を3,000万円削減した
- 新しい商品を開発した
というように、仕事という行動をベースに評価します。
また、売上や利益に直接関連しなくても、
- 他の社員が困っているのを助けた
- リーダーシップを発揮して、プロジェクトをまとめた
- 〇〇という資格を取った
ということを評価する会社もあるかと思います。
しかし、この場合も、社員の行動を評価している点では同じです。
結果だけを見るのか、その結果に至るプロセスも考慮するのかという違いは評価基準の分類としてあります。けれども、いずれの場合であっても、会社で社員を評価する場合は、社員の行動が中心となります。
逆に言えば、行動の奥にある社員の思考は評価の対象にはなりません。
社員が「会社のために頑張って売上を上げよう」と考える場合でも、「自分のために頑張って売上を上げよう」と考える場合であっても、同じ売上1億円は同じ評価になります。
人は、「どうすれば他の人が自分を認めてくれるのか」というのがすごく気になります。
そして、人事評価は、一定の基準を基にできたか、できないかを判断するものであるため、評価しきれない部分が残るという側面はどうしてもあります。
先の例に関連して言えば、会社のためであろうが、社員自身のためであろうが、関心の矢印は自分に向いています。
しかし、これが「お客様に喜んでもらうために頑張ろう」ということになれば、その結果として達成した1億円は同じ1億円であっても、価値が違います。
なぜなら、お客様は神様なので、こちらの考えていることはお見通しだからです。つまり、この提案が単に自分の成績のためにやっているものなのか、真にお客様のために考えて提案されたものなのかはなんとなく伝わってしまうのです。
自分の成績を第一に考えて上げた売上は一定の品質を保っている限り、トラブルにはなりません。一方で、お客様のために作った提案を基に達成された売上は、お客様の感情をも動かすので、紹介やリピート等を通して、次の売上につながります。
会社の成績は1年毎の決算書で評価されます。
その際、将来に向けた新規投資を行ったり、過去の負の資産を処分したりすることで、一時的に利益が減ることもあります。この場合、単純な財務評価としては点数が下がりますが、中長期的に見た際には、会社にとって必要な減益だったりします。
同じように、社員の評価も1年毎、もしくは半年毎の行動で評価せざるを得ません。
その場合、数字を中心とした評価が中心となりますが、その行動の奥にある思考にどこまで迫れるかで中長期的な会社の成長に差が出てきます。
あなたの会社では行動の奥にある思考や考え方をどのように評価しているでしょうか?
また、会社としては、こういう考え方で仕事に取り組んでほしいという意向はどこまで社員に伝わっているでしょうか?
どのような人事評価にするかは、会社が社員に伝える大切なメッセージの一つです。
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