知恵の和ノート
社員の安心感を多面的に支えることで、自立的な行動を促す(第282話)
単一的な取り組みで、社員に不安と停滞をもたらすのは成長が止まる会社
複合的な取り組みで、社員に安心と自立をもたらすのが成長し続ける会社
インターネット集客で指標となるCVRはConversion Rate(コンバージョン率)。
「100人のアクセスがあったら、何人お申込みがあるか」という数字を上げるために、キャッチコピーを考えたり、文字の配置等に工夫を加えたりします。このCVRが高ければ、会社は安心してインターネット広告にお金を投資できます。
一方、社員が自立的に働くために必要なCVRは
- C:Cash(お金)
- V:Vision(ビジョン)
- R:Respect(敬意)
です。
いま吉本興業が何かと話題になっていますが、その要因の一つとして取り上げられているのが、会社と社員との契約の問題です。
「働いても、いくらお金がもらえるか分からない」という状況であれば、人はやはり不安になります。給料は1ヵ月でどのくらいになるのか、賞与は頑張ればどのくらい増えるのかというおおよそのメドが立ってこそ、生活の基盤も成り立ちます。
一方で、中小企業の場合、給料をいくらでも増やせるという状況にはありません。また、お金によるインセンティブは上書きが可能。このため、いくら頑張って高い給与条件を提示しても、他社にすぐにひっくり返される恐れがあります。
そこで、大事になるのがビジョン。
会社は将来どのような世界を作っていきたいのか、この商品はどのような理念に基づいてできているのか。
弊社でもセッションを行う際には、クライアントさんの経営理念の一要素としてビジョンを重要視しています。なぜなら、社員が自立的な活動を行う際の判断基準になるのが経営理念だからです。
では、一定の給与水準を確保し、経営理念を定めたら、社員は自発的に行動するのかと言えば、なかなかそうは簡単に行きません。難しいのは経営理念を浸透させることです。
その時、本質を理解してすぐに仕事に活かす社員もいれば、頭では分かっていても、なかなか仕事に反映できない人もいます。また、個人的なノイズが邪魔することで、いつまで経っても受け身のまま、という人もいるかもしれません。
社長からすれば、「去年に比べて大幅にベースアップしたのに何なんだ?」「せっかく苦労して経営理念を決めたのに、どうして分からないんだ?」と腹立たしくなります。
しかし、ここで忘れてはならないのが、敬意です。
ここで言う敬意とは何も、社員に擦り寄ることではありません。また、むりやり長所を見つけてそこを褒めるということでも
ありません。
一人の社員に対して人として敬意を払うということ。つまり、条件なしに人として尊重するということです。
弱い人ほど、「自分はどう思われているのか」ということを気にします。そして、社長のように強い立場にいる人から「自分はダメな奴だと思われている」と感じとってしまうと、「なんとか見返してやろう」と思って頑張るのではなく、「やっぱりダメか・・・」という形で負のスパイラルに入ってしまうことが多いのです。
- C:Cash(お金)⇒経済的な安心感
- V:Vision(ビジョン)⇒迷った時の支えとなる安心感
- R:Respect(敬意)⇒人として承認されているという安心感
という感じでしょうか。
いまは経済的には豊かになったとは言え、将来に対して漠然たる不安を抱えている人が多いと言われています。そのような時に、「給料を上げているから」「目標を示しているから」「人事評価制度があるから」だけでは、人が社長の考えるようには動いてくれません。
社員に多面的な側面から安心感を与える。
CVRの観点から自社の取り組みを一度見直していただければと思います。
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