知恵の和ノート

2019/07/09

松下幸之助さんと稲盛和夫さんという二人の経営の神様の違いを分析して、我以外皆我師を目指す(第279話)

カテゴリー :意識改革

個人的な感情のしこりから、アンテナの感度を弱めるのは成長が止まる人
個人的な経験を脇に置いて、アンテナを常に高く張るのが成長し続ける人

二人の経営の神様の違いを分析して、我以外皆師を目指す

松下幸之助さんと稲盛和夫さん。

お二人とも日本を代表する経営者で、時には「神様」と呼ばれています。しかしながら、私の場合、松下幸之助さんの言葉は、素直に受け入れられるのに対して、稲盛さんの言葉はあまり心に響きません。


その要因は前職での経験にあります。

GPS関連のベンチャー企業で働いていたのですが、あるプロジェクトで、稲盛さんが創業したグループ会社の1社とご一緒させていただく機会がありました。

しかし、・・・・・。

 

結論から申し上げると、途中ではしごを外されるようなことがあり、その後は勤務先の資金繰り悪化につながったのです。

稲盛さんには直接お会いしたことはありません。

けれども、それまでに書かれた本を何冊か読んでいて、「この考え方は素晴らしい」と共感することも多かっただけに、「どうして、こんなひどいことをするのか!」と腹立たしい思いが膨らみました。

そして、その後、稲盛さんのご活躍や名言に触れても、「でも、実際に会社でやっていることは何なの?」「言ってることとやってることにギャップがある!」という感じで、素直に受け入れられなくなったのです。


一方の松下幸之助さん。

同じく、直接お会いしたことはありません。


けれども、

  • 同じ和歌山県の出身である
  • 伯父が松下電器の販売代理店をやっていた(伯父の会社には松下さんと伯父が一緒に写っている大きな写真が飾ってありました。)
  • 子供の頃から家電製品はパナソニック(旧ナショナル)のものをよく使っている

こともあり、なんとなく親しみが湧いていました。

このため、松下幸之助さんが「こう言っていた」と知ると、「やっぱりそうだよねぇ」と素直に信じられるのです。


これらのことを構造的に俯瞰してみると、

  • 松下幸之助さん:個人的に親近感を抱いている
  • 稲盛和夫さん:個人的に痛い目にあったので、嫌悪感がある

です。


しかしながら、最近読んだ松下幸之助さんに関する本によると、経営の神様と呼ばれている裏側では、いろいろな人間的葛藤や非常に人間くさいドラマがあったことが分かります。この点を勘案すると、もし私が過去にパナソニックグループと仕事で関わっていたら、何か嫌な思いや経験をしたかもしれません。

また、稲盛さんに関して言えば、ご本人ではなく、グループ会社のやったことであり、経営理念を広く社員に浸透させることは難しいことを考慮すれば、稲盛さんに何の罪もありません。そして、当方は「途中ではしごを外された」と解釈していますが、先方には先方なりの戦略や言い分があることは間違いありません。


つまり、私の場合は、自分の小さな経験や知識の中で、

  • 松下幸之助さん:〇
  • 稲盛和夫さん:☓

と結論づけているのです。


しかしながら、これは冷静になって考えてみると、非情にもったいないことです。

「何を言うか」よりも「誰が言うか」が大事であると言われます。つまり、同じ言葉であっても、Aさんが言えば、相手が従うのに、Bさんが言うと、反発されることがあります。

このため、影響力を増すためには、相手に対して、説得力を持つ人を目指さなければなりません。そして、これは何かを伝える人の立場としては正解です。


けれども、学ぶ人の立場になったらどうでしょうか。

Aさんが言っても、Bさんがしゃべっても、同じ内容であれば、どちらかでも学べた方が学べるチャンスは広がります。すなわち、我以外皆我師の状態に近づくには、「誰が言うか」はできるだけ無視した方が効果的です。


人はどうしても、自分が過去に経験したことや現時点で持っている知識に縛られます。恥ずかしながら、私も口では「客観的に自分を見ましょう」と言っていますが、まだ修業の途中です。

振り返ってみると、稲盛さんのグループ会社との取引があったお蔭で、私は独立起業への道を歩み出すことができたと言えます。そういう意味では、意固地になっているのは恥ずかしい限り。まだまだ感謝の気持ちが足りないと、少し反省しているところです。

 

社長が自分を客観的に見直すためのプロセスは「こちら」をご覧ください。

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