知恵の和ノート
人材育成では社長から先に歩み寄った方が効果的(第278話)
社長の一挙手一投足で、社員が殻に閉じこもるのは成長が止まる会社
社長の歩み寄りに呼応し、社員が殻を打ち破るのが成長し続ける会社
耳は大きく、口は小さく、目は優しく。
先日お話をお伺いした上場会社の元社長さんの教えです。
経営に関するいろいろなアドバイスがあったのですが、人材育成に関しては
- 「耳は大きく」:できるだけたくさん社員の言うことを聴く
- 「口は小さく」:社長自身はあまりしゃべらない
- 「目は優しく」:殺気だった雰囲気を作らない
ことを、常に意識されているそうです。
最初は知人と二人で始めた会社を最終的には一部上場企業にまで発展させた方ですが、社員を育てるというという点は一筋縄ではいきませんでした。社員のための会社作りを目指していたのに、業績が悪くなった際、社員から突き上げを食らうということもありました。
普通であれば、「バカらしくてやってられない」と投げ出したくなるところです。それでも、目の前の見たくない現実から目を背けず、逃げなかったことで、問題を解決していきました。
中小企業の場合、会議を開いても、社長が一方的にしゃべって社員は黙って下を向いて、社長の話を聞いているということがあります。また、「何かあったらすぐに相談するように」と指示していても、社長がいつもカリカリしていると、社員は委縮して気軽に相談に行けません。
社長と社員とでは、見ている視点が違うので、社長からすれば、「何をトンチンカンなこと言ってんだ!」と怒鳴りたくなることがあります。けれども、その社員からすれば、自分がトンチンカンであるという自覚はなく、目の前の仕事に一生懸命取り組んでいるだけなのです。
それゆえ、耳は大きく、口は小さく、目は優しくして、社員にどこがずれているのかを自覚してもらうことが大事になってきます。
この時、社員に擦り寄る必要はありません。
たいていの場合、人は自分に都合が良いように言葉の意味を解釈します。このため、下手に同調するような形になると、会社の経営方針とのズレが分からずに、ますます自分勝手な行動になる恐れがあります。
いわば、「耳は大きく、口は小さく、目は優しく」は、社員の心を開かせるためのお膳立ての部分。
ある程度、相手の言いたいことややりたいことが分かった後で、「でも、それってお客様から見たらどう思う?」「君が上司だったら、問題ないと考えるだろうか?」というように、会社の経営理念に沿う方向に導いてあげる必要があります。
昔と比べると、価値観が多様化しているので、社長が良いと考えているポイントと社員が良いと考えるポイントがずれることが増えています。このため、ズレがあるのを前提にして、どの部分がどの方向にずれているのかを探る一手間が必要になっています。
おそらく、耳は小さく、口が大きく、目は怖くだと相手は引きこもってしまうので、そのズレがなかなか掴めません。
冒頭の教訓を教えていただいた経営者も、「まぁ、言葉にするのは簡単ですが、実践するのはそれほど簡単なことではありません」とおっしゃっておられました。
それでも、最初から諦めるか、諦めずに少しずつでも実行するのかで、長期的な効果は大きく変わります。
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