知恵の和ノート
経営理念が社員に浸透しない要因となる三つの軽さ(第275話)
経営理念が軽いまま、社員がバラバラに動くのは成長が止まる会社、経営理念を重くして、社員を巻き込んでいくのが成長し続ける会社
会社の経営理念を定めたのに社内で浸透していない。
時折、このようなご相談を受けます。
先日もある会議で、社長は自分の手帳に会社の経営理念を書いて、いつも読み返しされているのに対して、社員は正確に「ウチの経営理念は・・・」と語ることができないということがありました。
経営理念が浸透しないには、大きく分けると、二つの要因があります。
一つは経営理念が長いこと。
そして、二つ目は経営理念が軽いことです。
最初の経営理念が長いことは、物理的に長い文章を人はすぐに覚えられないということによります。行動指針を20ヵ条定めても、なかなか浸透しないのも同じ理由です。長いものや多いものは、短いフレーズに比べると、覚えづらいのは誰しも経験することです。
しかし、これについては、無理やり短い文章にしなくても、毎朝朝礼で唱和する、経営理念を書いたカードを配って全社員に持たせる、といった方法で改善していくことができます。
より問題が深刻なのは経営理念が軽いこと。
そして、この軽さをさらに分類すると、次の三つになります。
1.思いがないから軽い
2.扱いが軽い
3.単独だから軽い
1.思いがないから軽い
経営理念がないとダメと皆が言っているから取りあえず作ろうといって、適当に作った言葉はやはり軽いです。どんなに美辞麗句を並べても、そこに「どうしてもこれを実現したい」という社長の強い思いがそこに入っていない限り、やはり社員には伝わりません。
一方で、社長が心底納得している言葉であれば、それを伝える際に圧が違うので、社員にも重みをもって受け入れられます。
2.扱いが軽い
せっかく経営理念を作って、ホームページや会社案内に載せても、それだけでは浸透しません。
かの松下幸之助さんは会社経営が上手くいくためには、経営理念の浸透度が50%を占めるとおっしゃっています。これを私なりにさらにブレイクダウンすると、「経営理念を作ることが10%+それを浸透させるための熱意や根気、仕組みなどが40%」です。
しかしながら、一応は経営理念を作ったけれど、それで満足しているケースが少なくありません。そして、それでは、会社経営の成否を決める50%にはほど遠いと言わざるをえません。
3.単独だから軽い
これは2の扱いの軽さとも関連しますが、経営理念が日々の仕事と結びついていない、また、仕事における評価も、経営理念はそれはそれとして、営業成績の数字による評価がほとんど占める、という状況であれば、経営理念はまさに理念として浮いてしまっています。
せっかく時間と労力をかけて作ったのであれば、毎日の一つひとつの仕事と結びつける、人事評価も経営理念を広く反映したものにする、といった具合に会社のあらゆるものと紐付けしていない限り、社員は経営理念を重く捉えません。
引力の大きさは引き合う物体の質量の積に比例するという万有引力の法則。これを経営理念に押しはめてみれば、軽い経営理念は引きつける力が弱いので、社員を巻き込めないのは理に適っています。
あなたの会社では、経営理念の重みを増すために、どのような手を打っておられるでしょうか?
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