知恵の和ノート

2019/05/28

社員との危機感の共有は期待せず、会社のリスクを逓減させる(第273話)

カテゴリー :リスク管理

危機感を強要して、社員が委縮するのは成長が止まる会社
安心感をベースに、社員が活躍するのが成長し続ける会社

社員との危機感の共有は期待せず、会社のリスクを逓減させる
「ウチの社員には危機感がない

社長がよく使う言葉の一つです。


経営環境が目まぐるしく変わる中、社長は「今は売上が上がっているから良いが、来年になったらどうなるかは分からない」という危機意識を常に持っておられます。

このため、社員には「危機意識を持って仕事をしろ!」と指示するのですが、なかなか相手には伝わりません。それどころか、社長が危機意識の話をし出すと、「また、いつもの話が始まったよ」という感じで、うつむき加減になり、嵐が過ぎ去るのをじっと待つという状況になることも少なくありません。

 

社長、特にオーナー社長にとっては、「仕事=人生そのもの」なので、たとえ休暇で休んでいたとしても、頭の片隅には仕事のことが残っています。つまり、仕事が自分事化されているので、仕事に関する危機感も常に自分事として捉えられています

一方で、社員の場合。大半の社員は危機感を自分事にするほど、仕事が自分事化されていません。

また、社長が危機意識を煽ったとしても、「なんやかんや言っても、ちゃんと売上は上がっている」、「毎月給料ももらえているし、ボーナスだって出ている」という現状を目の間にすると、仮に頭では理解できても、社長が思っているような危機感を自分事化するのは難しいという現状があります。


社員にとって、会社は自分の生活の基盤になる安心の場。

その安心の場が危険な状況になるというのは、見たくない、考えたくない事実です。そして、もしそのような危機に陥っても、最後は社長がなんとかしてくれるという期待があります。

このため、もし、社員がその危機感を自分事化する事態に直面したら、多くの社員は新しい安心の場を求めて会社を去っていくはずです。


すなわち、

  • 社長=危機になっても最後まで逃げることができない
  • 社員=危機になったら最後は逃げることができる

というように、出口が大きく違うので、社長と同じレベルの危機感を社員に期待するのは無理と考えるのが自然です。


ならば、どうすれば良いでしょうか?


お客様への対応に問題があり、社長から見て「このままだと、そのうちお客様から切られるぞ!」と感じる時、それをそのまま伝えても、社員には「そんなことはありません。大丈夫ですよ」というような、根拠のない自信があります。

この場合、危機感を煽るのではなく、「お客様をもっと喜ばせるにはどうしたらいいと思う?」というように、前向きな行動を促すような質問をすることをお薦めします。

この方法であれば、経営理念とも結びつきやすいですし、具体的な改善策として実現すれば、成果を実感しやすいので、危機感を醸成しなくても、結果的に、会社の危機を減らす方向に動き出すことになります。


危機感を社員に強要するのではなく、自然体で危機を減らしていく。

社員とは価値判断の基準が違うという前提で、行動しましょう。


社長の価値判断の基準を見つけるには「こちら」をご覧ください。

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