知恵の和ノート
価値を上げて価格を上げる戦略を磨くための視点を考える(第270話)
今までの常識に囚われて、価値が上がらないのは成長が止まる会社
新しい視点を取り入れて、付加価値を上げるのが成長し続ける会社
価格を上げたければ、価格を上回る価値を提供せよ。
価格戦略を議論する際、よく言われるフレーズです。
大手企業と違って中小企業の場合、安易に値下げすると、価格戦争の巻き込まれて、時には致命傷になります。このため、いかにして値下げしないか、そして、いかにして値段を上げるのかが鍵を握っています。
この時、多くの人が教えるのは、「商品の価値を上げることで、価格を上げよ」ということ。100万円で売っている商品を200万円で売りたければ、200万円以上の価値のある商品を提供することが基本という訳です。
私自身もこの教えにしたがって、「いかにして価値を上げるか」ということにいろいろと知恵を絞ってきました。
一方で、最近ある本を読んでいてふと気づいたのですが、この「価格を上げたければ、価格を上回る価値を提供せよ」という議論は、等価値交換型の取引を前提としています。
つまり、100円の価値のある商品は100円で買えるという取引で、多くの取引はこの等価値交換型です。この場合、お金を払う側は、「この商品は100円以上のお金を払う価値がある」と感じた時は、その商品を買うでしょうし、「この商品は100円のお金を払う価値がない」と感じた時は、たとえ100円でも、その商品を買いません。
したがって、先の「価格を上げたければ、価格を上回る価値を提供せよ」という議論が成立します。
しかし、取引にはこのような等価値交換型の他に、共同プロジェクト型というのがあります。
例えば、ダイエット。
ライザップに30万円支払ったからと言って、必ずしも、CMで見るような筋肉隆々の身体にはなりません。的確な指導方法は、もちろん必要ですが、ぶよぶよの身体を引き締めるには、お金を払った本人の努力が必要不可欠です。
つまり、共同プロジェクト型の取引の場合、「お金を払う→期待している価値を得られる」のではなく、「お金を払う+共同でプロジェクトに取り組む→期待している価値を得られる」ということになります。
この時、お客様が「お金を払ってるんだから、なんとかしろ!」と怒っても、ご本人が会社側が提供するメニューをやらない限り、期待している価値は絶対に得られません。
その際、ポイントになるのが、
- お客様の本気度
- 商品を提供する側とお客様との相性
- お客様に対するフォローアップ体制
です。
いくらお金を持っていても、本人が本気でやろうとしない限り、成果は出ません。
また、同じことを言われるにしても、Aさんの言うことなら素直に聞けるのに、Bさんに言われると、なんだかむかつくということがあります。この点、共同プロジェクト型では相性が合うか合わないかはかなり大切です。
そして、フォローアップ体制。
等価値交換型の場合、その場限りであったり、比較的短期間で終わるのに対して、共同プロジェクト型の場合は、ある程度時間がかかります。このため、プロジェクトを進めている中で、最初はやる気があっても、だんだんとモチベーションが下がったり、ということが起こります。この時、いかにして提供側がフォローアップできるかによって期間内に成果が上がるかどうかも違ってきます。
このように見てくると、共同プロジェクト型の場合は等価値交換型の取引に比べて、
- お客様の側も会社側もより主体的に相手を選ぶ必要がある
- 商品とお金の交換だけでなく、やるべきことがかなり多い
ということが分かります。
しかしながら、見方を変えると、共同プロジェクト型こそ、付加価値を上げられる要素は大きいと言えます。仮に、同じ商品を扱うにせよ、相手によって感じる価値も異なれば、会社が付加できる価値も違ってきます。
弊社の仕事は完全に共同プロジェクト型ですが、もし、あなたの事業が等価値交換型であれば、「共同プロジェクト型にシフトすれば、どのようなことができるか」ということを考えてみると、価格を上回る価値を提供する際のヒントが得られるかもしれません。
新しい令和の時代を切り開いていくために、ぜひ時間を作って考えてみましょう。
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