知恵の和ノート
社員教育では、魚の釣り方だけでなく、魚の本質を教える(第255話)
問題の解決方法だけ教えて、社員の考える力を鍛えないのは成長が止まる会社
問題の本質的部分も学ばせて、社員の考える力を伸ばすのが成長し続ける会社
「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」
お腹をすかしている人に、魚を与えても一過性に終わるのに対し、魚の釣り方を教えれば、今後も魚を自分で釣って食べられるようになるので、反復性がある方が良いという教えです。
しかし、現実問題として、魚の釣り方を教えてもらったからと言って、それ以降は困らないということにはなりません。
そもそも魚の種類が違えば、その釣り方も違います。また、同じ魚を釣る場合でも、季節や天候によって釣れる場合もあれば、釣れずにぼうずで終わってしまうこともあります。
では、どうすれば良いのでしょうか?
先のことわざ的な表現にならえば、
「魚の釣り方を教えるのではなく、魚の本質を教えよ」
になります。
マグロの釣り方と鮎の釣り方は全然違います。しかし、マグロや鮎を含めた魚そのものの特徴や行動様式が分かれば、魚が変わっても、応用力を効かせることで、多くの魚を釣るということが可能になります。
これら一連のことを社員教育の観点から言えば
- 魚を与える :問題をその場で解決する
- 魚の釣り方を教える:問題の解決方法を教える
- 魚の本質を教える :問題の根本原因を教える
となります。
問題の解決スピードから言うと
魚を与える→魚の釣り方を教える→魚の本質を教える
となります。
一方で、社員の成長スピードから言うと
魚を与える←魚の釣り方を教える←魚の本質を教える
です。
もちろん、魚の本質を教えたからと言って、すぐに魚を釣れるようにはなりません。けれども、中には魚の本質を理解することで、自ら考えて、より多くの魚を釣れるようになるケースが必ず出てきます。
私自身、銀行に勤めている時に、最初は、スワップとか、オプションといった金融派生商品のことがよく分かりませんでした。このため、ある取引先から質問があった時に、専門部署に連絡して、直接答えてもらいました。
つまり、これは
魚を与えてもらう:問題をその場で解決してもらう
状況です。
次に研修でスワップやオプションについて教えてもらったのですが、ちょっと変わった商品が出てくると、やはり躓きました。
これは、
魚の釣り方を教えてもらう:問題の解決方法を教えてもらう
状況です。
そして、ある時、デリバティブを扱う専門部署に転勤になり、そこで、金融派生商品の本質的な構造を学びました。すると、新しい商品が出てきても、「これって複雑そうに見えるけれど、実はこういうことでは?」という応用が効くようになり、金融派生商品に対する苦手意識がなくなりました。
これは、
魚の本質を教えてもらう:問題の根本原因を教えてもらう
です。
急がば回れではありませんが、短期的な問題解決を重要視するあまり、本質的な部分を避けてしまうと、長期的には問題解決を遅らせることになります。
社員教育においても、魚の釣り方だけでなく、魚の本質を教える機会を少しでも増やしていきましょう。
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