知恵の和ノート
人の目を引く成果の背景には、人目につかない日々の努力あり(第237話)
他社の目立つ成果を模倣して、自社の成果につながらないのは成長が止まる会社
他社の地道な努力に着目して、自社の成果につなげていくのが成長し続ける会社
「働き方改革」という言葉を聞かない日はないぐらいの昨今ですが、先日、「残業0」「年3回の10連休」「ボーナス100万円」を町工場で実現した経営者からお話をお聞きする機会がありました。
NHKの「おはよう日本」を始め、マスコミでも何回も取り上げられたことのあるY会長。
バブル崩壊、ITバブル崩壊、リーマンショックと過去3回の倒産危機があったとのことですが、経営者目線ではなく、社員目線から改革を進めたことで、現在では業績も安定し、全社員が年収600万円以上の会社になっています。
経営改革が成功した理由はいくつかあると思いますが、私が印象に残ったのは、Y会長のアンテナの高さと経営への応用力です。
お話の中でも、有名なテレビCMや旅館などがいくつか紹介され、それからヒントを得た面白いエピソードを披露されていました。中でも、私が「さすが!」と感じたのが、某高級ホテルの話です。
おもてなしで有名な高級ホテルにお正月明けに比較的安く泊まれる日があったので、Y会長は予約。けれども、その宿泊日当日、予約日を勘違いしてしまい、ホテルに行くのを忘れてしまったそうです。
「年明け早々損したなぁ・・・」とがっかりしていたら、ホテルから電話があり、「Y様、どうされましたか?」
そこで、日にちを勘違いした旨を伝えると、「今ですと、〇月〇日と△月△日ならお部屋をお取りできますが」と、別の日程での宿泊をオファーされたそうです。
すっかり感激したY会長。これを自分の商売に応用できないかとして考えたのがお取引先への対応です。
Y会長の会社では部品の加工をやっているのですが、納品した後に、取引先から「納めてもらった部品をウチの方で失敗してダメにしたので、大至急、同じ部品を納品してほしい」という依頼がたまにあるとのこと。
取引先の方も発注先への納期があるため、かなり焦っています。そんな時、Y会長の会社では、急いで代替品を加工した後、一通の手紙を添えて納品します。
「この部品の代金は結構です」
大至急で納品する場合は、特急料金等を請求されたりして、かなり割高になるのが普通です。けれども、Y会長の会社では、「ウチも加工に失敗して、納期に間に合うか焦ったこともある」ということで、先方の事情を勘案して、追加料金なしで代替品を納めることがあるのです。
すると、このような対応をされた取引先は大感激!会社のファンになり、継続的に発注してくれる模様です。
つまり、Y会長の中では
高級ホテルでの臨機応変な対応に感激
↓
お客さんを感激させると、その人はファンになってくれる
↓
自社でお客さんを感激させるにはどうすればよいか
↓
取引先のミスで再納品する際に追加料金を請求しない
↓
取引先が感激して、継続的な受注につながる
という流れができています。
お話をお聞きして痛感したのが
会社を離れている時でも、常に仕事と結びつけて考えているので、些細なことでも、改善が進む
ということです。
おそらく、経営者目線ではなく、社員目線に立って、経営改革を進めておられる経営者も多いかと思います。
けれども、
年に1回もしくは半年に1回、社員と直接話して社員目線に立っていると考える経営者
と
常に1年365日、何か社員のやる気につながることはないかと模索している経営者
とでは、時間の経過とともに大きく差が出るのは当然です。
マスコミは「残業0」とか、「ボーナス100万円」といった誰にでも分かりやすい成果に食いつきます。けれども、そのような分かりやすい成果の裏には、一見すると、分かりにくい地道な努力の積み重ねがあります。
我々がまず学ぶべきなのは、「年3回の10連休」という働き方改革の表面的な成果ではなく、会社を離れている時でも常に仕事への応用と結びつける「考え方改革」だと感じました。
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