知恵の和ノート
自走する組織作りには、社員の考える力が不可欠(第230話)
答えをすぐに与えて、社員の思考停止を招くのは成長が止まる会社
答えをすぐに与えず、社員の思考向上に導くのが成長し続ける会社
「答えを教えてほしい」
クライアントさんとのセッションをやっていると、たまにこう言われることがあります。
特に社員の方とのグループセッションでは、一つの正解をすぐに求める傾向が見受けられます。
学校教育の影響もあり、多くの人は答えを求めたがります。
簡単な問題なら、自分でも答えられます。けれども、ちょっと複雑な問題にぶち当たった時に、
考えてもすぐに答えが思い浮かばない
↓
答えがないのは不安で気持ちが悪い
↓
すぐに答えを知りたい
となるのです。
学校の勉強だと、各教科毎に1年間でどこまで教えるというのが決まっています。このため、1時間で10問を解かないと、次の単元に進めません。したがって、ある程度考えて答えが分からないと、「この問題の正解は・・・」というように、先生が答えを教えます。
一方で、会社の仕事の場合。
もちろん、納期が明日が迫っているときなど、正解をすぐに見つけないとダメな場合もあります。
けれども、業務改善や社内の体質改善などを進めている場合、すぐに正解を教えることばかりだと、かえって改善そのものが進まないことがあるのです。
答えが分からない場合はいくつかの要因があります。
- ・答えを見つけるための情報が不足している
- ・答えを見つけるための知識が不足している
- ・答えを見つけるための時間が不足している
- ・答えを見つけるための意欲が不足している
単に情報が足りないのであれば、必要な情報を集めれば、答えは自ずと分かります。
知識が足りないのであれば、本を読むなり、先輩に質問するなりして知識を身につければ、答えを導き出すことができます。
時間が足りないのであれば、期限を区切って時間を使えば、答えに辿りつく可能性があります。
一方で、意欲が足りない場合は、問題設定そのものや社員が日頃感じていることに踏み込まないと、答えを出せないかもしれません。
問題が出た時に「分かりません」と即座に回答することは簡単であり、答える側にとっては、もうそれ以上答えを考えずに済むので、実は安易な選択を取っていることにもなります。
それゆえ、弊社では「答えを教えてほしい」というご依頼があった時でも、たいていはすぐに答えを言いません。
特に少し難しい問題に取り組んでいる場合は、よりじっくり考えてもらうことを重要視しています。
中には冷房の効いている会議室でも、「頭の中から汗が出てきます」とおっしゃる方もおられますが(笑)、人は答えが見つかると、安心してしまうもの。
けれども、答えがなかなか見つからないという不安定な状況を抜け出し、答えを自分の力で導き出すことができれば、自信がついて今まで以上に安心な状況を自ら構築することができます。
普段人間は脳の能力のほんの数%しか使っていません。
自走する組織作りを目指すのであれば、安易に正解を示さないこと。
目先の問題解決を優先して、自ら考えることを放棄してしまうと、中長期的には、かえって本質的な問題解決により多くの時間と労力を費やすことになります。
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