知恵の和ノート
高い視点と広い視野で他社の好事例を上手に取り込む(第227話)
同業他社の競合分析で後追いするのは成長が止まる会社
異業種の先行事例を自社に活かすのが成長し続ける会社
競合会社がやっていることを分析する。
売上を伸ばし、利益を上げるためには、他社の動向は気になるところです。
けれども、最近は単に同業他社の調査をするだけでは足りないというのを感じます。
実は今週私はちょっと早めの夏休みを取る予定でした。なかなか予約が取れないツアーに3回目の応募でようやく当選し、この日曜日から出かける予定だったのです。
けれども、残念ながら今回の豪雨の影響でツアーそのものが中止になってしまいました。
最終的にツアーの中止が決まったのが土曜日の午後1時。
ニュース等で被害の深刻な状況が伝わっていたので、「今回は難しいかも」と思っていたので、連絡をもらった時は「あぁ、やっぱりねぇ」という感じでした。
その旅行会社のA社から伝えられたのは
- 次回予定が決まった時は優先的に案内する
- 事前に振り込まれた代金は全額返金する
そして、
- 今回の中止に伴い、発生したキャンセル料等はA社が負担する
というものでした。
ツアーの中止を受けて、早速行きの電車と前泊する旅館の予約をキャンセルしました。事前に確認していた規程によれば、前日キャンセルの場合は、電車も宿泊料もキャンセル料がかかります。
まず鉄道会社のB社。
通常であれば、前日キャンセルの場合、乗車券は200円、指定席券は金額の30%のキャンセル料がかかります。
けれども、今回は大雨による特例措置が出ていたのか、キャンセル料はいっさいかからず、全額払い戻してくれました。
次に旅館のC社。
申込みした際の規定では、前日キャンセルの場合は、宿泊料金の50%のキャンセル料金がかかります。
そして、今回しっかり規定通りのキャンセル料金を請求されました。
旅行会社、鉄道会社、旅館と広い意味で旅行に関する業界という点では同じですが、今回は各社によってキャンセル時の対応が大きく分かれました。
A社の場合は、最初に朝9時半頃に電話があって、「中止になるかもしれない」、「最終決定を午後1時にする」という事前のお知らせがあって、まさに午後1時にすぐ連絡がありました。
電話のやり取りからしても、「本当に残念です」という感じが伝わってきます。
一方で、B社とC社。
事務的に淡々と対応するという点ではどちらも同じです。
けれども、B社の方も、当然キャンセル料金を取られると思っていただけに意外な感じがしました。
そして、C社。
規定通りの対応であり、別に先方の対応としては何の落ち度もありません。
しかし、相対的な問題として、A社の対応ほど気持ちが伝わってこないし、B社の対応との比較になると、なんとなく杓子定規な印象が残ります。
結局、利用者側からすると、業態は違うけれど、無意識のうちにA社とB社とC社を比較します。そして、規定通りの対応であり、それ自体は何の問題はないけれど、C社に対して、「よそとは違うんだ」というイメージを植えつけてしまいます。
人の感情というのは、論理的には割り切れないものがあります。そして、C社の対応も会社経営という観点から見て、「それはおかしいでしょう!」と指摘することはできません。
しかしながら、ちょっとしたことで、人の感情は動くもの。
A社の場合、「次の日程が決まるまで、代金をお預かりすることができますが」ということだったので、お金は預かってもらい、楽しみは先に取っておくことにしました。
そして、次の予定が決まってもおそらくC社には予約を入れないと思います。なぜなら、A社やB社と違って、C社にはこちらをいい意味で裏切るような対応がおそらく期待できないと感じるからです。
人の価値観が多様化する現在。言い換えると、ワガママな人が増えています。そして、ちょっとしたことがきっかけで違う選択肢を選びます。
一つの業界に留まり、そこでの議論に終始するのではなく、より高い視点、より広い視野が求められています。
★社長の深層価値観を言語化して、会社経営に活かす「コアコンセプト・マーケティング」は「こちら」をご覧ください。
ヒーズでは、弊社の日頃の活動内容や基本的な考え方をご理解いただくために、専門コラム「知恵の和ノート」を毎週1回更新しており、その内容等を無料メールマガジンとして、お届けしています。
上記のフォームにご登録いただければ、最新発行分より弊社のメールマガジンをお送りさせていただきます。お気軽にご登録いただければ幸いです。