知恵の和ノート
一を聞いて十を知る社員を育てる思考法(第214話)
一つのミスを抽象化せず、モグラ叩きを続けるのは成長が止まる会社
一つのミスを抽象化して、ミスの低減に繋げるのが成長し続ける会社
一を聞いて十を知る。
社長であれば、誰しも社員がそうあってほしいと願うもの。けれども、現実はそうそう上手くいきません。
先日もクライアント先で、お客さんの電話をたらい回しにしたことによるトラブルがありました。けれども、同じようなトラブル。実は数ヵ月前にも起こっていたのです。
たしかに、最初に対応した社員も違えば、文句を言ってきたお客さんも異なります。また、細かいことを言えば、お客さんとの契約内容やいただいている金額も違います。けれども、構造的にはこの二つのトラブルは同じです。
社長からすれば、「なんで同じことをやってるんだ!」「いい加減にしろ!!」と怒鳴りたいところです。
このように、同じようなミスを繰り返さないために、会社ではいろいろと手を打っているかと思います。
- 失敗事例を報告させて、みんなでシェアする
- 毎日の朝礼で注意を喚起する
- マニュアルを改訂して、注意事項を徹底する
これらの施策は必要であり、やらないよりは絶対にやった方がベターです。
けれども、どうしても人が関わる仕事においては、いくら社内で情報を共有したり、間違えた時の罰則規定を強化したとしても、ミスは起こります。
また、先の二つのトラブルのように、構造的な問題は同じでも、細部の状況が異なる場合、その違いを含めてこと細かく規律することは必ずしも有効とは言えません。
そこで、弊社でよく実践しているのは、少し上位の概念を使って
具体的な課題⇒抽象的な要素⇒具体的な対策
に落とし込む思考法です。
例えば、電話のたらい回し。
この具体的な課題を少し抽象化してみると、部署間で情報共有されていないという要素が考えられます。
そして、この部署間で情報共有されていないという項目を具体的な対策に落とし込んでみると、
- 部署間の情報共有ファイルを作る
- 関係部署の連絡会議を週一回開催する
- 複数の部署にまたがる情報の連絡方法のルールを見直す・・・
といったことがあります。
すると、ここでは、単に担当部署の仕事内容とその連絡先だけでなく、一人のお客さんに対して複数の部署が関与する時の顧客情報管理のあり方まで、注意が及ぶことになります。
つまり、
A店から本部へ電話をつなぐ際に電話のたらい回しがあった→A店に対して電話のたらい回しをしないよう注意する
では、1対1の対応に終わってしまい、次に
B店から本部へ郵便物を送付する際に1週間以上かかってお客さんに迷惑をかけた
というトラブルを未然に防ぐことはできません。
少なくとも、1つのミスが起きたら、最低でも3つ以上の対策を打って、今後起こりうるであろうミスの発生確率を少しでも下げる必要があります。
そのためには、社員一人ひとりの意識を地道に変えていく不断の努力が絶対に欠かせません。
その解決策として、社員に
具体的な課題⇒抽象的な要素⇒具体的な対策
という思考法を身につけさせることは有効です。
最初は少し難しいかもしれません。けれども慣れてくると、そのうち
一つの具体的な課題⇒(抽象的な要素)⇒複数の具体的な対策
というように、すぐに具体的な対応ができたり、
他社の具体的な課題⇒(抽象的な要素)⇒自社の具体的な対策
というように、他人の振り見て我が振り直せができるようになります。
普段人間は脳の能力の数パーセントしか使っていないとか。訓練すれば、誰でも一定の効果があります。
社員とのコミュニケーションの中で、
「この課題を抽象化すると、どんな要素が考えられる?」
「その要素から導き出される対策を具体的に言うと?」
という質問を織り交ぜることで、
具体的な課題⇒抽象的な要素⇒具体的な対策
という思考法を意識的に伝えていきましょう。
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