知恵の和ノート
桜の開花宣言の流儀をマネジメントに取り込む(第211話)
定義と対象があいまいで、仕事を空転させるのは成長が止まる会社
定義と対象を明確にして、仕事を拡散させるのが成長し続ける会社
年中行事の一つとなっている桜の開花宣言。毎年「平年より〇日早く(遅く)」というように、必ず早い、遅いという比較とともに発表されます。
そして、これができるのは、「桜の開花とは花びらが5輪開いた状態」という定義と、「桜の開花の基準となる標本木」という対象が決まっていることに基づいています。
東京では靖國神社の拝殿の近くに桜の標本木があり、そこの桜の木で花びらが5輪咲いたら、東京での桜の開花が宣言されます。
同じ対象を基に、一つの定義で開花を宣言するのか、しないのかを決めているのため、時系列的な比較ができます。
また、桜の開花宣言を正式に行うのは、気象庁ですが、定義も対象も決まっているため、桜が開花したかどうかを誰でも判断することができます。
つまり、言葉の定義が決まっており、その基準となる対象も決まっていることで、長期間に渡って、時系列的な比較もできるし、人の資格や能力を問わずに、同じ判断ができるという訳です。
すなわち、時間的にも、人的にも汎用性が広がっています。
言われてみれば、非常にシンプルなことなのですが、これが会社の中での議論になると、
- 言葉の定義が決まっていない
- 基準となる対象が決まっていない
ために、仕事が空回りすることがあります。
もう少し正確に言えば、
- 仮に言葉の定義が決まっていても、それが社内で統一されていない
- 仮に基準となる対象が決まっていても、それが社内で周知徹底されていない
ということかもしれません。
もし、あなたの会社で、
- 自分の意図する真意がなかなか浸透していかない
- 日頃から注意していても、同じような問題がたびたび起こる
ということであれば、やり方を変える前に
- どうしても伝えたいことをシンプルに表現する
- 社員が見るべき指標を明確に指し示す
ことが先です。
「靖國神社にある標本木となる桜の木で、花びらが5輪開いたら東京の桜の開花宣言とする」ということであれば、たとえ小学生でも気象庁の職員とまったく同じレベルで、桜の開花宣言を行うことができます。
マーケティングではよく「小学生でも分かるような表現を使いましょう」と言われますが、これはマネジメントでも同じです。
同じ日本語でも、伝わりません。そして、簡単には伝わらないからこそ、伝わった時には大きな価値を生み出します。
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