知恵の和ノート
経営者が避けるべきは失敗でなく、時間の浪費(第210話)
仮説を立てても、実行を先送りするのは成長が止まる会社
仮説を立てたら、実行を前倒しするのが成長し続ける会社
ここに二つの動画があります。
A:富士登山電車&富士山ビュー特急の旅_2017年夏
B:とれいゆつばさ&リゾートみのりの旅_2017年夏
どちらも昨年の7月に旅行に行った時の動画で、同じ日に公開しています。昨日時点での視聴回数で比べると、一方が337回であるのに対して、片方が67回と約5倍違います。
さて、どちらの視聴回数が多いでしょうか?
実際にご覧いただくと、分かるのですが、正解はA>Bです。
公開した日も同じ。動画の長さもA:1分11秒、B:1分17秒とほぼ同じです。実際にご覧いただくと、ご理解いただけるかと思いますが、対象は違うにせよ、作っている人が同じなので、動画のクオリティ的には大差はありません。
では、なぜこんなにも開きがあるのでしょうか。
YouTube動画の場合、タイトルで検索されることが多いので、最初はタイトルによる違いかと思いました。
そこで、タイトル名に記載のある電車名の検索ボリュームで調べてみると
- 富士登山電車:100~1,000回
- 富士山ビュー特急:1,000~10,000回
- とれいゆつばさ:1,000~10,000回
- リゾートみのり:1,000~10,000回
となっており、どちらかと言えば、AよりもBの方がより検索されている模様です。
ちなみにかかっている旅費で言えば、旅行先はAが山梨県なのに対して、Bが山形県なので、Bの方がよりお金がかかっています。
つまり、よりお金を使って、より検索回数が多いと想定される動画より、より少ないお金で、検索回数では劣ると思われる動画の方が、視聴回数という点では5倍成果が上がっているという訳です。
先の動画は趣味も兼ねてアップしているものなので、どちらの視聴回数が多かろうが、大勢に影響はありません。
では、これが会社の事業だったらどうでしょうか。
ほぼ同じ条件で始めても、実績に5倍の開きがあれば、事業Aは成功したけれど、事業Bは失敗だったという評価を下されます。
どこにお金を使うか、という観点から見ても、よりたくさんお金を使った事業Bの方が効果が小さいとなれば、事業Bの担当部長は、事業Aの担当部長とボーナスで差が出るかもしれません。
しかし、これはやってみて初めて分かることです。もし、インターネットでより検索されやすい方を選ぶという基準で、事業Bだけ取組んでいたら、会社としては大きな収益を逃していたことになります。
会社は、事前にいろいろと情報を集めた上で、仮説を立てて、決断を下します。
特に、中小企業の場合、あれもこれもという選択はできないので、事業Aと事業Bの両方を同時に進めることはできないことだってあります。
ここで、一番問題となるのは、調べたはいいが、何の決断もせずに、実行に移さないことです。
先の動画の視聴回数もやってみて初めて分かったことです。
結果が出ない、成果につながらないのは、けっして失敗ではありません。やるべきことを何もやらないことが、有益な時間を無為に使ったという意味では、失敗にあたります。
「あなたの最大の失敗はなんですか?」という質問に対して、かの有名な投資家ウォーレン・バフェット氏は、「本当に大きな失敗は表に出ません。私がした最大の失敗は、『何もしない』という失敗です。」と答えたそうです。
春は新しいことを始める時期。
仮説を立てたら、果敢にチャレンジしていきましょう。
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