知恵の和ノート
経営者は一貫性を持って、言葉で社員を巻き込む(第208話)
経営者の言葉が軽く流されて、社員の腰が重いのは成長が止まる会社
経営者の言葉が重く響いて、社員の足腰が軽いのが成長し続ける会社
「『あなたに言われたら仕方がない』と言わせるのが本物の政治家で、『あなたにだけは言われたくない』と言われる政治家はダメ!」
先日お話をお会いした週刊文春の編集長からお聞きしたフレーズです。仕事柄政治家との接点も多い編集長曰く、「政治家は言葉の力を重くすることが大事」とのことでした。
数々のスクープの裏話もいろいろ教えてもらったのですが、それはさておき、政治家を経営者に置き換えても同じことは言えます。
経営者は時には無理難題を社員に指示することがあります。
それが単にその時の思いつきで発せられたものなのか、深い思惑があって出たものかは別にして、「あなたに言われたら仕方がない」と社員に思わせたら、会社は大きく動きます。一方で、「あなたにだけは言われたくない」と多くの社員が感じてしまうと、会社は停滞してしまいます。
政治家の場合、「あなたにだけは言われたくない」という人に対しては、次の選挙で投票しないという形で、有権者は意思表示することができます。
これが、対経営者になると、中には会社を辞めるという社員もいるかもしれません。その場合は分かりやすいのですが、問題は社員が会社に残ったままで、不満がどんどん溜まるケースです。
いわゆる面従腹背の状況になって、表面では従っているように見えて、内心では従っていないという事態になると、問題を解決するのにかなり時間がかかります。
経営者の言葉が軽くなってしまう要因はいくつかあります。
- 社員に対しては、「経費削減」をうるさく言っているのに、自分は毎晩会社の経費を使って豪遊している。
- 「お客様を大切にする」という経営理念を掲げているのに、社内では「あのバカが!」と平気でお客さんの悪口を言う。
- 「とにかく数字を上げろ!」と売上には厳しい一方で、自分は会社の資金繰りをあまり把握していない。
- 自分の気に入った社員の言うことには耳を傾けるのに、苦言を呈する社員には怒って、話を聞こうとしない。
- 場当たり的な指示が多くて、何を目標にしているのかがハッキリしない。 etc.
経営者と社員とでは見ている視点が違うので、経営者の言っていることを100%社員に理解させるのは至難の業です。
けれども、仮に社員から見れば、「あれっ?、1週間前と言っていることが違うじゃん」と思われても、それを納得させられるだけの一貫した根拠があるのかどうか。そして、もし一貫した根拠を持っているのであれば、それをしつこく、何回も繰り返し、言葉で説明しているかどうか。
変化の激しい昨今、昨日出した指示と今日出す指示が違うということはあります。しかし、そこに一貫したものがないと、受取る側は不安になり、行動を鈍らせます。
週刊文春の編集長によると、官僚からの評価も高い某政治家は「必ず最終的な目標を示した上で、今日やるべきことを指示する」ので、「あの人の下で働かせてほしい」という声が多いそうです。
いくらITが発達して、システム化が進んだとしても、会社という組織を動かすのは人。そして、その人を動かすのは言葉。
「あなたにだけは言われたくない」という政治家が増えている日本を真の意味で変えることができるのは、「あなたに言われたら仕方がない」と社員に思われている経営者の力にかかっています。
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