知恵の和ノート
AIが進化する世界を主体的に泳ぎ切る(第201話)
コンピュータを鵜呑みして、人としての努力を惜しむのは成長が止まる会社
コンピュータを参考にして、人としての努力を重ねるのが成長し続ける会社
先日実家からタクシーで帰る時のこと。
いつもは、「調布駅まで」と告げると、たいてい同じようなルートで走ってもらえます。けれども、その時の運転手さんは調布駅の場所を知らなかったらしく、「調布?」といったん首をかしげ、「住所を教えてもらえますか?」
そこで、自宅の住所を言うと、運転手さんはカーナビに「調布市布田・・・」と打ち込んでルートを検索しました。
その後、タクシーはカーナビの指示通りに走り出したのですが、いつもの道とは違って、かなり遠回りのルートの模様です。
私も今はクルマを持っていません。普段から運転もしないので、遠回りのルートであることは分かっても、いつも通るルートを細かく指示することはできません。このため、仕方なくそのまま乗車していました。
そして、調布駅近くの自宅に近くなった頃。運転手さんはあくまで、カーナビに沿ってクルマを走らせます。
その道は普段タクシーでは使わない裏道。「へぇ~、カーナビだとこんなルートを指示するんだ」と関心していたところ、最後の最後、自宅まであと50メートルくらいになったところで、道路が狭くて左折できず!
結局、自宅の真ん前までクルマをつけることができず、重い荷物を抱えて、最後は歩かされる羽目にあいました。振り返ってみると、途中のルートは同じでしたが、最初と最後はいつもと違う行き方でした。
今は道をよく知らなくても、カーナビを使えば、目的地に辿りつくことができます。
先のタクシー運転手さんのように、初めての場所であっても、カーナビというIT技術を活用することで、お客さんを目的地にまで連れていくことができます。
けれども、その方法が本当にそのお客さんにとって、最善の方法とは限りません。
最初の10分で走ったルートはとても分かりやすいルートです。けれども、明らかにいつもの道より遠回りでした。
それと比べると、いつも実家から帰る時に通るルートは、住宅地の間の細道を右へ左へ曲がっていくので、その辺りの道路事情をよく知っていないと、正確に運転することができません。
一方、最後の5分で走ったルートは、散歩ではよく使う道であり、確かに最短ルートでした。
けれども、最後の最後で曲がるところが、大型のタクシーで走るにはギリギリくらいの道幅。慎重に運転すれば、大丈夫かもしれませんが、ちゃんと曲がり切るには、何回も切り返しが必要なところです。
その結果、わずかな距離とは言え、途中で下車せざるを得ませんでした。
これを会社経営に置き換えてみると、コンピュータがはじき出す結果が必ずしも正解とは言えないという教えにつながります。
一つにはインプットする情報の量と質によります。
正確な情報を大量にインプットしなければ、コンピュータと言えども正しい答えを出すことはできません。
また、コンピュータが出した結果をそのまま鵜呑みにするのか、あくまで参考として使うのかによって、結果も大きく違ってきます。
先のタクシー運転手さんは道に不慣れだったため、カーナビに忠実に走らざるを得ませんでした。けれども、慣れたドライバーであれば、カーナビでだいたいの方向は確認しつつ、道が混んでいれば別のルートを選択したり、裏道を知っていれば、それを駆使して運転します。
AIが人の知能を超えると言われる2045年。
あと27年ですが、AIとどう向き合うかについては、会社の大小を問わず、常に主体的に取り組んでいくべき課題です。
会社でも主役はあくまで人。
AIに仕事の一部を任せるにせよ、AIを使いこなすのは、あくまで主体性を持った我々人間であることを忘れずにいたいですね。
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