知恵の和ノート
中小企業は個性的な社員を活かしきることで飛躍する(第198話)
社員の個性を無視して、会社の方針を無理やり強要するのは成長が止まる会社
社員の個性を活かして、会社の方針に自然に共感させるのが成長し続ける会社
「ウチは動物園かも・・・」
二人の経営者さんが異口同音に言われたフレーズ。おそらく、個性的な社員が多いという意味で使われたのだと思います。
大企業だとそれぞれの社風があり、良くも悪しくも統一感があります。一方、中小企業では、大企業ほどの画一性はありません。
私が最初に転職した時も、いろいろな会社や業種から中途採用で入社してきた人たちばかりだったこともあり、「へぇ、そうなんだ!」と驚くことがたくさんありました。
昨今、「経営理念が大事だ」「ミッション、ビジョンが大切だ」という考え方がかなり浸透してきました。このため、中小企業でも独自の経営理念を掲げて、会社の意思統一を目指す会社が増えています。
けれども、経営理念が定まったからと言って、それが社内にすぐに浸透するとは限りません。特に中小企業では、大企業に比べると、社員教育にまでなかなか手が回らないのが実情です。
それゆえ、せっかく社長が納得のいく経営理念ができたとしても、絵に描いた餅で終わっているケースが少なくありません。
動物園では、南極に住んでいるペンギンもいれば、アフリカで生活しているライオンもいます。そして、それらの動物は同じ動物園の中にいても、それぞれの生活環境に沿った施設の中で、日々を過ごしています。
これが成立するためには、動物園側が個々の動物について
- 好物は何で、一回の食事量はどのくらいなのか
- 快適に過ごせる環境はどんなものなのか
- 一日の生活リズムはどうなっているのか
について、すべて把握しておかなければなりません。
これを会社経営に置き換えて考えてみると、会社が個々の社員について、食事の好みを把握しているとは限りません。
自宅住所は知っていても、社宅でもない限り、その住環境については詳しく知りません。
また、就業時間中の仕事パターンは分かっていても、プライベートでの時間の過ごし方までは知りません。
つまり、会社は社員について、知っているようで意外と知らないのです。
もちろん、プライバシーの問題があるので、会社が社員のすべてを知ることはできませんし、その必要もありません。けれども、もし、少ない人数で社員の力をフルに活かそうとするならば、少なくとも、社員がどんなことで感情が動くのかについて、ある程度掴んでおくことは必須です。
現在あるクライアントさんには、「社員の良いところを見つけて、認める」という課題に取組んでいただいています。
売上や契約件数など、数字で社員を管理することは、誰でもできます。けれども、そこから一歩踏み込んで、「A君があと5,000万円売上を伸ばすにはどうすればよいか」「Bさんがあの新規先と契約を結ぶには何が足りないのか」という点になると、A君とBさんの個性の違いや考え方の違いもあるので、同じ数字をやってもらうにせよ、かける言葉も、進める方法も違ってきます。
これはかなりたいへんで、正直面倒くさいです。しかし、某大手電機メーカーのように、トップが放つ「チャレンジ」の一言で、社員が右向け右で一斉に動く時代は着実に終わりつつあります。
そして、特に社員数が必ずしも多くない中小企業においては、経営理念という大きな方向性は統一していても、その具体的な進め方は、個々の社員の働き方によるところが大です。
社員の力を100%活かしきるには、たとえ面倒くさくても、社員一人ひとりと向き合うこと。
会社の軸が定まった後は、その軸に社員をどれだけ巻き込めるかが鍵になります。
人によって、感情の動くポイントは違うので、時には押したり、時には少し揺さぶりをかけながら、巻き込みポイントを見つけていきましょう。
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