知恵の和ノート
ゴジラに敗れた楽観論とゴジラを倒した楽観論の違い(第193話)
根拠のない楽観論を展開し、失敗後に大慌てするのは成長が止まる会社
楽観的な未来を展望し、冷徹に業務を練り上げるのが成長し続ける会社
楽観的か、悲観的か。
経営者の場合、楽観的だと「詰めが甘いのでは?」と指摘される一方で、悲観的だと「それでは夢がない!」と周りからそっぽを向かれることがあります。そのバランスをどう取るのかについて悩まれるかもしれません。
先日テレビ放映された映画「シン・ゴジラ」の中で、楽観的か、悲観的かで気になるシーンがありました。
ゴジラが出現したものの、まだ巨大不明生物の正体がつかめていない中で、駆除する方針が決まった後、自衛隊の攻撃ですぐに解決できそうだと安心する閣僚たちに対して、主人公が「見通しが甘過ぎると、前の世界大戦と同じ失敗を繰り返すのでは?」と釘をさす場面。
つまり、楽観的な見方に対して、批判を浴びせた訳です。そして、映画では実際に自衛隊が攻撃しても、ゴジラの進撃を止めることができませんでした。
一方で、主人公を事務局長とする「巨大不明生物特設災害対策本部」の中で、メンバーがつぶやきます。
「生物であれば、倒せるはず」
おそらくこの時点では明確な根拠はありません。そして、具体的な対応策が決まっていない中でも、生きている生物であれば、何らかの弱点があるので、必ず倒せるはずだという考えを述べています。
これは、ある意味楽観的なのかもしれません。けれども、それに対して、異論をはさむ人はいませんでした。
そういう意味では、この考えは楽観的というよりは、その人の信念に基づくものなのかもしれません。
これを会社経営に置き換えると、
経営者が描くビジョンは楽観的である方が人を巻き込める
のと同じことです。
もちろん、そのビジョンに賛同しない人もいます。けれども、そのビジョンに同じ希望を見出す人は必ずいるはずです。
一方で、ビジョンを実現するための各種の目標。これについては、悲観的というか、シビアに検討すべきです。
特に今まであまり経験したことのない仕事に取組む場合、計画通り上手くいけばOKですが、現実は必ずしもそうとは限りません。会社の仕事の場合、相手のあることなので、根拠のない楽観論は思わぬところで足元をすくわれる恐れもあります。
このため、目標を達成するためには、プランAだけでなく、必ずプランBも用意し、いざとなれば、すみかやかにプランAからプランBに切り換える体制が必要です。
経営者は大いに夢を語ってほしいと私は思います。そして、同時にその夢の実現に向けての足元のプロセスは、より緻密に練り上げ、単に夢物語では終わらせてほしくないです。
「シン・ゴジラ」でも「生物であれば、倒せるはず」という楽観論の下、ギリギリまで作戦を練り上げ、その成功確率を高めるべく、みんなが頑張りました。
一人ではなかなか難しいことも、社員が知恵を絞ることで、できることはたくさんあります。
ぜひ、経営者は楽観的な未来像を提示しつつ、冷静な観点から詰めるべきところを詰めて、その楽観的な未来を現実のものとしましょう。
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