知恵の和ノート
言葉の重みを噛みしめて、一言一句を発する(第161話)
言葉を粗雑に使って、相手の意欲を低くするのは成長が止まる会社
言葉を丁寧に使って、相手の気持ちを高めるのが成長し続ける会社
「体力はあるよね?」
ちょうど17年前、海外から帰国して次の部署が決まった時に、人事部の人から言われた言葉です。
次に配属が決まったのは審査部。支店から上がってくる融資の案件について、お金を貸すか、貸さないかを審査する部署です。
これだけ聞くと、なんとなく知的な仕事のようなイメージを持たれるかもしれません。けれども、実態は、朝から晩までひたすら書類を読んでチェックして、自分の意見をつけて上司に渡すの繰り返し。文字通り体力勝負の職場でした。
人事部の担当者は何気なく言った一言ですが、私は今でも強烈に覚えています。
つまり、当時の銀行が私を評価していたのは、海外で駐在事務所の立ち上げをやったということではなく、身体も丈夫で、審査部のきつい仕事にも耐えられるということだったと解釈しました。
結局、私は審査部への移動が決まって4ヵ月後に銀行を辞めることになります。その人事担当者は自分の発した何気ない一言が、その後の社員の人生に大きな影響を与えるとは思ってもみなかったことだと思います。
銀行の場合だと社員も多いので、一人ぐらい辞めても大勢に影響はありません。
けれども、人数が少ない中小企業の場合、一人が辞めてしまうと、その仕事のしわ寄せが他の人にも及びます。ましてや、人手不足の昨今だと、採用をかけてもなかなか人が来てくれません。
もちろん、社員が会社を辞める際には理由は一つではありません。
私自身も、けっして「体力はあるよね?」の一言でブチ切れした訳ではありません(笑)。けれども、なんとなく会社による自分に対する評価が垣間見えたことが辞めるきっかけの一要素にはなった気がします。
言葉には一定の重みがあります。特に経営者の言葉は社員にとってみれば、総理大臣の言葉よりも重いです。
どんなに表面を取り繕っても、本音はポロリと出ます。
社員を退職へと追い込むのも何気ない一言ですし、辞めようかどうか迷っている時に「やはりこの会社で頑張ろう!」と、思い留まらせるのも何気ない一言です。
繊細な心を傷つけるのも言葉、また、繊細な心を癒すのも言葉。同じ使うなら、人を貶めるのではなく、人を高揚させるために言葉を使いましょう。
★社員にしっかりとメッセージを届けたい社長は「こちら」をご覧ください。
ヒーズでは、弊社の日頃の活動内容や基本的な考え方をご理解いただくために、専門コラム「知恵の和ノート」を毎週1回更新しており、その内容等を無料メールマガジンとして、お届けしています。
上記のフォームにご登録いただければ、最新発行分より弊社のメールマガジンをお送りさせていただきます。お気軽にご登録いただければ幸いです。