知恵の和ノート
できる社員ができる経営者になれるとは限らない(第146話)
経営者がサラリーマン目線に留まって、ぼやき続けるのは成長が止まる会社
経営者がサラリーマンの殻を破って、大きく脱皮するのが成長し続ける会社
キャリアデザインに関するセミナーで、講師である大学の先生が大手企業出身者の課題として挙げておられたのは、
- 仕事をプロセスとして設計できない
- 仕事の目的を熱く語って伝えることが苦手
- 仕事を人に任せられない
の3つでした。
大手企業の場合、仕事が細分化されているので、仕事の全体を見て最初から最後まで一つのプロセスとして設計する機会がなかなかありません。次に、目的を熱く語らなくても、そこそこ社員が動いてくれるので、目的に情熱を込めていなくてもあまり支障がありません。また、まずは自分の人事評価がベースになるので、人に任せて成果を出すよりは、自分の能力を磨いて結果を残す方が出世の早道です。
この説明を聞いた時、私自身「なるほど、その通り!」と思わず納得しました。たとえ、サラリーマンとして優秀だと評価されていても、それは大きな組織の歯車の一つとしての実績です。
一方で、経営者の場合。
仕事をプロセスとして設計できないと、大きなリスクを見逃したり、プロセスの一部がボトルネックになって、売上が伸びなくなったりします。
仕事をやる目的を熱く語れないと、社員の心に火をつけることができず、仕事のスピードや品質が上がりません。
また、人に仕事を任せることができないと、いつまでたっても経営者が年がら年中駆けずり回っている状態が続きます。
弊社のクライアントさんにも大手企業出身者の方がおられますが、ほとんどの方が最初に経営者になってからしばらくすると、3つのいずれかの要因から発生する壁にぶつかっておられます。
つまり、サラリーマン時代にはすごい成果を残していたのに、中小企業の経営者になった後、思ったほど業績が伸びず、「なんでだろう?」ということで、弊社にご相談いただくことがあるのです。
仕事のプロセスで言えば、一見地味で退屈に見えるバックオフィス業務があまり整備されていないことがあります。
目的を熱く語るという点では、ご自身のミッションやビジョンが明確に言語化されていないケースが散見されます。
そして、仕事を任せるという点では、経営者が仕事を抱え込み過ぎていることがほとんどです。
結局のところ、中小企業の経営者に求められる資質は優秀なサラリーマンに必要な要素とは異なる部分があります。
だから、たとえ思ったほど業績が伸びなくても、特段落ち込む必要はありません。むしろ、求められる資質の違いに早めに気がついたことは、ある意味非常にラッキーです。
プロ野球で一流選手が必ずしも一流の監督として成功するとは限らず、逆に選手としてはパッとしなくても、名監督として優勝を重ねる人がいるように、経営者として成功するには、サラリーマン時代の経験に+αが要ります。そして、その+αを手に入れるには、自分で一から努力する方法もあれば、第三者の手を借りるという方法もあります。
全体を広く見渡して、仕事のプロセスを設計し、仕事の目的を熱く語って社員や取引先を巻き込み、それぞれの仕事は適任者に任せる。
言葉として書くと、とてもハードルが高いように感じますが、まずは自分が「今の会社にとってこれは外せない」と感じるものから、一つひとつ取組んでいきましょう。
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