知恵の和ノート
一つの問題の裏には組織的な課題が複数あり(第132話)
指示通りできない原因を属人的問題として収束するのは成長が止まる会社
指示通りできない原因を組織的課題として展開するのが成長し続ける会社
築地市場の豊洲への移転延期に関連して、土壌汚染対策の盛り土が行われていなかったことが明らかになりました。
経緯や真相の解明はこれからとなりますが、会社においても、「これは当然やってるでしょう」と経営者が思っていることが、実は行われていなかったということがあります。
経営者からすれば、「部長は部下がどんな仕事をしているかを把握している」と思っていても、その部長は「部長は部全体の仕事を見るのが仕事で、部員の仕事の内容は各課長がつかんでいる」と思っている場合があります。
業務フローの改善などで、社員の方からヒアリングをすると、社員同士の間で勝手な憶測が飛び交って、結局誰もその実態を正確には分かっていないということが実際には少なくありません。
この時よくある間違いは、誰か一人を悪者にして、問題を解決することです。
「あれはA君が属人的にやったことです」
「これはBさんのマネジメントが原因です」
「C部長の言われた通りにやっただけです」
たしかに、ある問題が起きた時に直接の原因は一つかもしれません。そして、その原因の発生元は一人かもしれません。
しかし、誰か一人のせいにして問題解決を図る時に背景にあるのは、「だから、自分は悪くない」という責任回避の姿勢です。
ゴキブリが一匹見つかると、その場所には何十匹というゴキブリが生息していると言われています。同じように、あることで会社の指示が徹底されなかった時は、徹底されていない要因が無数に発生している可能性があります。
問題が起きた時に一つの原因に矮小化するのか、その根本的な原因にどこまで踏み込んでいくのか。
中小企業の場合は、定期的な人事ローテーションが実施されることも少ないのが現実です。
このため、意識的に課題を見つけ、それを改善していく取組みがないと、ついつい「まあ、今まで問題が起きていないから大丈夫だろう」という勝手な憶測が飛び交って、日常業務の課題が埋没しがちです。
しかし、意識的に課題を見つけ、それを改善していく取組みを作ることは経営者が果たすべき役割の一つです。
社員は失敗すれば上司から怒られるのは怖いし、失敗の責任を自ら申し出て挽回しようとする社員は稀な存在です。
部下だけに責任を取らせて、「自分は悪くない」と開き直るのは一種のパワハラ。
指示した通りにできなかった責任をきちんと取れるのはトップだけです。
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