知恵の和ノート

2016/07/19

お客様目線で横断的な業務改革を進め全体を最適化する(第124話)

カテゴリー :マーケティング

各部門の都合を優先して、部分最適に留まるのは成長が止まる会社
各部門の都合を統合して、全体最適を目指すのが成長し続ける会社

お客様目線で全体を最適化する

以前総務人事関係のフェアに参加した際、ゴーン社長の下で日産自動車の組織改革に携わった人の話を聞く機会がありました。

講演の中で何回か出てきたキーワードがクロス・ファンクショナル・チームという言葉。1990年代後半、経営危機に陥った日産では30歳前後の若手リーダーを抜擢して、テーマ毎に組織横断的なチームを作り、経営改革を進めました。

日産のような大きな会社に限らず、ある程度社員がいる会社の場合、どうしても組織毎の壁というのが生まれます。

よくあるのが営業部門VS管理部門という対立構図。

営業からすると「稼いでいるのは自分たちだ」という自負があります。一方、管理部門の中では「営業はお客さんの言うなりで、無理な契約ばかり取ってきて」という不満が貯まっています。

そして、各部門はそれぞれの目標を持って一生懸命課題に取組んでいるのに、会社全体で見ると、どこかチグハグな対応になっていることがあります。

仮に営業の詰めが甘くてトラブルが起きる場合でも、事務部門のケアレスミスでお客さんに迷惑がかかる場合でも、お客さんからすれば、「会社としてどうよ?」と見られます。

この時必要なのは、お客様目線です。

契約した人と実際にサービスを提供する人が違うことがあります。また、サービスを提供する部署とアフターフォローを行う部署が別々という会社も少なくありません。

会社にとって、一人のお客さんは大勢いるお客さんの中のone of themでしかありません。けれども、そのお客さんにとっては、あなたの会社は、そのサービスを提供してくれるonly oneの存在です。

「ウチの●●がいい加減で」という言い訳は、社内では通用しても、社外から見ると見苦しいもの。その自覚を社員一人ひとりが持っているかどうかで対応は大きく変わってきます。

もし、

  • 部門間での意思疎通が悪い
  • 各部門が他の部門の不満ばかり言っている
  • 部門毎に仕事の片寄りが見られる

といった兆候が出てきたら、早めに横断的な業務改革に着手するとをお薦めします。

一つのクレームの背景には、その10倍の潜在的な課題があります。大半のお客さんは黙って他社のサービスに乗り換えます。

横断的な業務改革を行うには経営トップの理解社員の積極的な関与が絶対に欠かせません。

講演を聞いて分かったのは、若手に改革を任せたゴーンさんもえらいけれど、その期待に応えた社員がいたからこそ、日産も経営危機を脱したということでした。

会社を変えていくには一本の矢だけでは足りません。組織ができると、ついついお客様目線より社内の目線の方に意識が行きます。

お客様が見ているのはあくまで会社全体の姿。部分最適よりも全体最適が優先です。

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