知恵の和ノート

2016/04/19

情報はいったん集約してから分散する(第111話)

カテゴリー :リスク管理

多くの情報に分断され、道を見失うのは成長が止まる会社
多くの情報を集約し、道筋をつけるのが成長し続ける会社

情報は集約してから分散する

「製油所のタンクが爆発し、有害物質が飛散したので、外に出る時を気をつけて!」

東日本大震災の際の時、知人からこんなメールが携帯電話のメールアドレス宛に流れてきました。

対象となったのは昔私の祖父も勤めていたことがある石油製油所。しばらくして、この情報はデマであったこと分かりましたが、震災直後であったこともあり、不安をかきたてるものでした。

一方の原発問題。

当時入っていた起業塾では、先生が「数値を見る限りそれほど心配するものではない」と、おっしゃって下さり、我々も少し安心していました。

しかし、後日明らかになった事実からすると、場合によっては東京も含めた東日本全体がかなり危機的な状況になるほんの一歩手前だったということが分かりました。

災害に限らず大きな問題が起きた時はデマを含めていろいろな情報が飛び交います。一方で、本当に知らせるとまずい情報などは一定のコントロール下に置かれて出てこないということがあります。

これらのことは、一個人や一つの会社だけではどうすることもできません。

では、どうすれば良いか?

以前人気だった朝ドラ「あまちゃん」にも出てきて話題となった三陸鉄道。東日本大震災で大きな被害を受けましたが、震災5日後には一部区間で列車を走らせました。

三陸鉄道では、地震後、本社に設置した災害対策本部を駅構内に止まっていた列車の中に移したそうです。

三陸鉄道で走っているのは電車ではなく、ディーゼルカー。電気がなくても、エンジンをかければ明かりがつくし、暖房も使えます。

その後、本社は停電となってしまいましたが、三陸鉄道では、この急造オフィスの中に

本社から持ち込んだホワイトボートとノートにあらゆる情報や社員への指示、連絡事項を逐一書き込んだ
 ↓
情報の共有化を図ると同時に連絡の行き違いを最小限に防いだ

とのことです。

これらはほとんどが三陸鉄道の望月社長の指示。そして、望月社長は震災から2日後、幹部を集めて、「動かせるところから、すぐに動かすぞ!」と激を飛ばしたそうです。

(「日経おとなのOFF」2013年4月号参照)

未曽有の危機に対して、

  • 迅速な行動でリスクを最小限化
  • 情報の一元管理と共有化
  • 明確な目標の提示

など、見事なまでの対応ぶりです。

これら一連の動きが、被害が大きかったにも関わらず、震災5日後の部分復旧という奇跡につながりました。

この中でも、やはり、情報の一元管理と共有化が危機対応では出発点になります。たとえ正確でなくても情報を一元管理し、共有化していく中で、知恵も工夫も出てきます

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