知恵の和ノート
社長の要望はだんだん深化するという前提で明確な指示を出す(第106話)
社員の先読みに期待し、社長の妄想が膨らむのは成長が止まる会社
社長が先読みして、社員の想像力を膨らますのが成長し続ける会社
以前クライアントさんから、「今後半年ぐらいの資金繰りがみたい」というご要望があったので、簡単な資金繰り表のフォーマットを差し上げました。
前月末残高、入金、出金、当月末残高という4つの項目を中心とする、ごくごくシンプルなものでした。
当初自分のイメージされていた数字が分かったので、非常に満足されていたクライアントさん、そのうちに数字の中味をより詳しく知りたくなってきました。
「来月はいつもより支払が多いのはなぜ?」
「どうして、4月は売上が減っているの?」
「自分の計算だと500万円ほどお金が増えるはずなんだけど?」
最初「半年ぐらいの資金繰り」だけだった関心の範囲が、毎月の経費の内訳、部門別の売上見込み、新規の事業投資に回せる余裕資金の金額といったようにだんだんと広がってきたのです。
忙しい社長がまず知りたいのは細かい数字の内訳ではありません。資金繰りに関して言えば、会社としてお金がちゃんと回っているかどうかということです。
でも、回っていることが分かると、次は、お金がどのくらい増えるのか(もしくは減るのか)、増えるとすれば、どんな要因で増えるのかという数字のより詳しい中味を知りたくなってきます。
できる社員がいれば、社長の意図を先回りして、シンプルな資料とその資料の根拠となる詳細な資料をちゃんと組合せて、最初はシンプルな資料だけを提出し、要望があれば、ササッと詳細な資料を出したりします。
しかし、多くの場合、社長の指示を忠実に守って(?)、「今後半年ぐらいの資金繰りがみたい」に対応するシンプルな資料だけを作り、「来月はいつもより支払が多いのはなぜ?」という質問を受けて、慌てて対応する詳細な資料をまた一から作るということがあります。
その結果、同じような資料を何回も作るといったように、仕事が二度手間、三度手間になったり、やたら詳しいけれど、ほとんど会社として有効活用されない資料ができたり、といった事態に陥ります。
社長からすれば「ある程度先を読んで仕事をしろ!」と言いたくなります。
でも、多くの社員は社長のご機嫌の良い時か、イライラしている時かには注意を払っても、社長が言語化していないことについて、頭の中でどう考えているのかを理解できないのが普通です。
先を読めるのが社長。
一方、社員は先を読む前に、指示されたことをなんとか期限までに実行しようとして、頑張ります。
そして、まじめな社員であればあるほど、言われた通りにやることに拘って仕事に取組みます。
意図は言葉としてきちんと伝えること。
特に自分が望んでいることについては、将来的に求めている水準も含めて、事前に相手に伝えて、すり合わせしておくことが不可欠です。
人材を即戦力にできるかどうかは、社長の準備次第です。
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