知恵の和ノート
制限あるところに業務改善のチャンスあり(第101話)
いつも人海戦術で乗り切るのは成長が止まる会社
常に創意工夫で進化させるのが成長し続ける会社
ある大企業に訪問した時のこと。
受付には3名ほどのスタッフがいました。受付を終えて来訪カードを受取り、エレベーターで打合せ場所であるフロアへ。
すると、そこにもお客さんをご案内するスタッフがいて、ミーティングルームまで連れていってくれました。そして、しばらくすると、別のスタッフがお茶を持ってくれました。
打合せが始まるまで、1人のお客さんに対して、延べ3人のスタッフが関わっている手厚い対応です。
これが中小企業の場合だったらどうでしょうか?
受付の電話で来訪した旨を伝えると、スタッフもしくは打合せの相手先が出てきてくれて、打合せ場所まで案内してくれます。そして、他にスタッフがいないような時は、わざわざ社長自ら飲み物を用意してくれる時もあります。
このようにお客さんが来た時の「受付→案内→お茶出し」という業務プロセス一つとっても、会社によって、誰が、何を、どのようにやるかは大きく異なります。
そして、サービスを受ける側からすると、やはり手厚い応対の方が印象に残ります。このため、次に目指そうとするのはどうしても大企業型の業務プロセスになります。
しかし、業務プロセスを進化させるという観点から考えると、1人のお客さんに対して延べ3名で対応するケースと、1人のお客さんに対して実質1名で対応するケースで言えば、後者の少人数で対応するやり方の方が改善すべき点が多いと言えます。
例えば、受付。
受付スタッフがいる場合は、普通「何時に、どこの誰が、営業部のAさん宛に訪ねてくる」という情報がちゃんと伝わっています。このため、もしアポなしで訪問した場合は、受付から該当部署に急な来訪があった旨を知らせてどう対応するかを問い合わせします。
一方で、電話で受付した場合、こちらが受付で該当部署に連絡すると、こちらの訪問日程が伝わっていることが明らかに分かるケースと、「誰だかよく分からない人が来た」ように先方が受取っているケースに分かれます。
受付スタッフがいる場合は、たとえアポなしでも、手慣れたスタッフの人が丁寧に対応するので、訪ねた人がよほど気の短い人でない限り、不快に感じるケースはまれです。しかし、受付電話での対応の場合、話をしている相手先の顔が見えないだけに「誰だかよく分からない人が来た」という雰囲気が伝わってしまうと、非常に大きなマイナスです。
この場合、少なくとも受付電話を取る可能性のある人に、何時に、どこの誰が、営業部のAさん宛に訪ねてくるという情報を事前に伝えておく必要があります。また、少人数で対応している場合には、受付電話を取る人が他に電話中で出られないことだってありえます。その場合、代わりに出た人がつっけんどんな対応をすると、やはり会社にとっては大きなマイナスです。
このように考えると、実は、少人数で対応する業務プロセスの方がかなり複雑になることだってあります。
けれども、逆に言えば、一見複雑に見える業務をスムーズに実行できるようになれば、それがノウハウとなり、かえって業務全体の効率性が高まることにもなります。
リソースが限られている中小企業の場合、1人のお客さんに対して3名で対応するような「目に見える」手厚い業務は実行できません。しかし、「目に見えない」ところで工夫を重ねることで、手厚い業務に進化させることはできます。
制限あるところに進化の可能性ありです。
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