知恵の和ノート
自社の決済条件を大切にして、資金繰りを能動的に回す(第84話)
自社ルールを他社の意向でなし崩し的に変えるのは成長が止まる会社
自社ルールを自社の意思でルールに沿って変えるが成長し続ける会社
自社よりも大きな企業と取引をする場合、交渉でもめる事項の一つが決済条件。中小企業としてはできれば前払い、遅くても翌月中には支払ってほしいところ。しかし、大手企業の中には思ったよりも支払条件が渋いところがあります。
実際、私がベンチャー企業に勤めていた時に取引のあった世界的にも有名な某大手企業。先方の支払条件をそのまま鵜呑みにすれば、当方が今月の売上を現金化できるのは半年先でした。
各会社では自社の商品の決済条件について、基本的なルールを決めています。でも、そのルールが100%そのまま適用されるとは限りません。
先の事例のように大手企業との取引の場合は、先方の支払条件に合わせざるを得ないことが多いかと思います。また、こちらが一括前払いの条件を提示しても、先方の資金繰りの関係から分割払いに応じることもあります。
いろいろな思惑や従来の経緯もあって、基本的なルールが100%守られる訳ではないという事情はよく理解できます。
けれども、資金繰りがあまり上手く回っていない会社に限って、自社の決めた基本的なルールをコロコロ変えています。そして、相手側からすれば、「それほどコロコロ変わるんだったら、ウチの場合も柔軟に対応してよ」と言いたくなるのは自然の流れです。
下請け仕事の場合は元請け先の条件を変えるのはそう簡単ではありません。一方で自社で直接販売する場合には自分で決めたルールは本来は守れるはずです。
もし、そのルールが守られていない場合は
- そもそも適当にルールを決めている
- 自社の商品自体に魅力がない
- 支払条件うんぬんを言っている余裕がない
のいずれかです。
適当にルールを決めているのだとしたら、キャッシュフローの管理がいい加減だという証拠。仮に今は資金繰りに問題がなくても、やがて資金繰りに支障をきたす状況に陥ります。
商品に魅力がないとすれば、決済条件だけでなく、価格面でも競争に巻き込まれています。それはやがて業績にもボディブローのように効いてきます。
また、支払条件うんぬんを言っている余裕がないのはそもそもかなりやばい状況です。
まずは自社の決済条件の基本ルールをきちんと定めること。
そして、その基本ルールを破る場合の条件を予め決めておくこと。
なし崩し的にケースバイケースで対応するというのではダメです。
特に大口案件で自社の決済条件と先方の支払条件が異なる場合は気をつけましょう。
- 銀行からすぐにお金は借りられるか
- プロジェクトが3ヵ月延びても支障はないか
- 途中でキャンセルした場合の資金負担はどのくらいか
など最悪のケースも想定して、場合によってはあえて断る決断も必要です。
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