知恵の和ノート
デジタル時代こそ人としての感覚を研ぎ澄ます(第79話)
データ分析だけで〇✕を判断するのは成長が止まる会社
データ+人の感覚で結論を出すのが成長し続ける会社
私の持っているデジカメには顔認識の機能がついています。
撮影する画面の中に人がいると、顔をカメラが自動認識し、そこにピントを合わせてくれます。このため、私のように撮影技術がない人でも、被写体のピンボケを防いでくれるので、とても便利です。
ところで、先日SLで有名な大井川鉄道に行った時のこと。
大井川鉄道では期間限定で子供に大人気のきかんしゃトーマスが走っています。
お子さんがおられる方はよくご存知かもしれませんが、トーマス号の前面は人の顔のようになっています。そして、トーマスとその仲間のSLを撮影しようとデジカメを構えたところ、デジカメは顔認識機能が作動して、トーマスたちにピントを合わせてくれました。
顔認識機能の詳しいアルゴリズムは知りません。けれども、目、鼻、口、眉毛のある人の顔っぽい被写体を認識して、「これは人の顔だ!」と感知したものと思われます。
たとえ人の顔っぽいマスクがついていても、小さな子供だって、SLはSLとして捉え、それを人間だとは思いません。けれども、コンピューターの場合、予め決めてある一定の条件が合致するとSLを人として認識してしまうのはたいへん興味深いものでした。
コンピューターが得意なのは〇か✕かを瞬時に判断すること。膨大なデータを駆使することで、「これなら売れそうだ」、「もう少しお金をかければもっと儲かりそうだ」という予測を立てることができます。
けれども、デジカメがSLを人として認識してしまうように、コンピューターの機能にも自ずと限界があります。写真撮影のように現場にいて対象物がすぐ近くにあれば、人が自ら感じることができるので、間違いにもすぐ気がつきます。
けれども、もし現場と人が離れていたらどうでしょうか。
データだけ見ると、
- A支店よりB支店の方が営業成績が良い
- 商品Cの方が商品Dよりもよく売れている
- EさんはFさんよりも残業時間が少ない
といった時、デジタル的に○なのは、A支店、商品C、Eさんです。
しかしながら、
- A支店では目先の売上ばかり追っているが、B支店では長期的な視野に立ってお客さんを開拓している
- 商品Cはたまたま競合他社の類似商品の販売時期がずれこんでいるため、売上を伸ばしている
- Eさんは面倒な仕事は全部Fさんに振っている
ことだってありえます。
コンピューターを上手く利用することは大事。でも、人の思考までデジタル的に〇か✕かで単純に切り捨てる癖が身についているのはとても危険です。
きかんしゃトーマスを見て人の顔だと認識するのはコンピューターの世界。一方で、トーマスを見て「子供の顔みたいでかわいい!」と感じるのは人間の世界。
「これ変だなぁ」、「これって面白いなぁ」と感じることができるのは人間だけ。忙しすぎるとつい人の感覚は鈍ります。感覚は常に研ぎ澄ませましょう。
ヒーズでは、弊社の日頃の活動内容や基本的な考え方をご理解いただくために、専門コラム「知恵の和ノート」を毎週1回更新しており、その内容等を無料メールマガジンとして、お届けしています。
上記のフォームにご登録いただければ、最新発行分より弊社のメールマガジンをお送りさせていただきます。お気軽にご登録いただければ幸いです。