知恵の和ノート

2015/06/02

本決算よりも月次決算でタイムリーに数字を把握する(第65話)

カテゴリー :決算書

正しい数字にこだわって時間を浪費するのは脆い会社
正しい行動にこだわって時間を節約するのが強い会社

本決算よりも月次決算

「毎月10日までに取締役会で月次決算の数字が発表できること、これがお金を出す際の条件の一つです」

先日あるベンチャーキャピタリストの方とお話していた時のこと。お金を出した後、会社の業績がどうなっているか分からないと、必要な手を打てないので、毎月きちんと月次決算をやれる体制にあることが必要条件とのことでした。

このように外部からお金を入れる時、会社として業績をタイムリー把握できる体制かどうかは必ず問われるところです。

しかし、多くの中小企業にとっては決算書を作ることが一大イベントになっており、なんとか期末から2ヵ月以内に数字を締めるのがやっとこさであることが少なくありません。

この時期、3月決算の会社ではようやく前期の決算が終わってほっと一息というところ。でも、現実問題としては、4月、5月と今期も既に2ヵ月が経過しています。

当初に立てた計画通りに業績は推移しているでしょうか。

それとも、今期の数字はこれからという状態でしょうか。

銀行から融資を受ける際には決算書の評価が8割以上を占めます。このため、本決算を締めることに労力が集中する傾向があります。

けれども、日々の活動において大事なのは、昨日の結果を踏まえて今日はどういう行動をするかです。

もし、ほぼ確実に取れると見込んでいた契約がライバル会社に横取りされてしまったら、その分をどこか他の取引先で取り戻さなければいけません。また、予想以上に円安が進行して原材料の輸入価格が上がったら、その分を売値に反映させるか、営業にはっぱをかけて数を稼ぐかしないと、当初予定していた利益の確保は難しくなります。

このように日々刻々と変わる経済環境の中で当初予定していた売上高を上げ計画通りの利益を上げるのは至難の業です。だからこそ、少なくとも月1回は会社の数字を把握し、今月は何を重点に置いて行動するかを決めて実行しないと、計画と実績の差はずるずると広がるばかりです。

もちろん、たまにはラッキーな風が吹いて実績が計画を上回ることがあるかもしれません。

でも、それは単なる結果オーライ。逆風が吹けば一気に崩れ去る砂城の上で活動しているようなものです。10年、20年と長くビジネスを続けていくためには、しっかりと土台を築き、大雨が降り、嵐が来てもなんとか持ちこたえる堅固な城を作り上げる必要があります。

そのためには、タイムリーに現実を把握することが最初の鍵です。

忙しいと1ヵ月や2ヵ月はあっという間に過ぎます。ましてや、1週間や10日などはほんの一瞬です。

決算書は納める税金を正確に計算するために、いろいろと細かいチェックが入るので、多少時間がかかるのは仕方がないかもしれません。

でも、月次決算はスピードが大事。経営判断に誤りのない範囲であれば多少の誤差は気にする必要がありません。

まずは、毎月5日には前月の実績を把握することから逆算して、何をどこまでやるかを決めましょう。

遅れれば鈍すです。

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