知恵の和ノート

2015/05/05

仕事量が増えても巡航速度を保つ(第61話)

カテゴリー :業務改善

忙しいとすぐさまボロを出すのは脆い会社
忙しくてもじんわり成果を出すのが強い会社

仕事量が増えても巡航速度を保つ

「今だと25分ほどお時間がかかりますが、よろしいですか?」

大型連休中のある日、ランチを食べにある老舗の洋食屋さんに行った時のことです。

お昼過ぎに到着した時、店の前には既に長蛇の列ができていました。我々が列の一番後ろに並ぶと、すかさずお店の人が近寄ってきて、冒頭のセリフとともに人数を確認し、お店のメニューをさっと渡します。中には途中で諦めて列から外れていく人たちもいましたが、私たちはそのまま待つことにしました。

既に何回か行ったことのあるお店なので、味についてはある程度分かっています。

けれども、以前ある別の某老舗和食店で混雑時の対応が「えっ、なにそれ?」だったので、それ以降そのお店に行く気がしなくなったことがあったので、私の関心は、混雑している時にお店の人がどう対応するかということでした。

見ていると、お店の外で並んでいる行列への対応は、ベテランらしい店員さんが一人で取り仕切っています。けっして愛想がいいというタイプではなかったのですが、テキパキと安定して自分の仕事を遂行している感じです。

GW期間中ということもあり、家族連れがほとんど。2人一組のところもあれば、全部で7~8人ぐらいのグループもあります。

飲食店での順番待ちの場合、難しいのは食事を終えた人の人数と次にお店に入る人の人数が一致しないことがあるということ。また、カウンター席が空いても、人によってはより話のしやすいテーブル席の方がいいというケースもあり、必ずしも順番通りには進まないことがあります。

実際次の次が我々3人の順番になった時、前は4人家族だったのですが、カウンター席が3席空いたという状態になりました。

すると、先ほどの店員さんは、まず私たちのところに来て「カウンター席で横並びなら3名座れるのですが」と聞いてきます。そして、私たちが「いいですよ」と回答すると、一組前のグループに「先に後ろの方をご案内させていただきます」と一言断ってから、私たちを先にお店の中に案内してくれました。

一方、以前行った某老舗和食店。

さんざん待たされた挙句、ようやく次は私たちの順番だという時に、ちょっとちゃらい感じの店員さんから「次にお待ちの二名のお客様を先にご案内したいのですが、よろしいですか?」と聞かれました。

そして、お腹が空いてちょっと不機嫌そうな私が「いいも悪いも仕方ないですよね」と答えると、「ですよね!一応許可取りたかっただけですから・・・」という回答が返ってきたのです!

こちらからすれば、「お兄ちゃん、それを言っちゃあおしまいよ」です(笑)。

その対応に比べると、今回の対応はいかにもスマート。待ち時間もほぼ最初に言われた通りの時間であり、店に入って店員さんの動きもキビキビとしてとても気持ちの良いものでした。

仕事の真価が問われるのは仕事量が一定の水準を超えてきた時です。

時間がある時は丁寧に一つひとつ仕事をこなせても、ボリュームが増えてくると、どうしても雑になりがちです。そして、仕事の質の違いは大量の仕事を一定のスピードで正確にこなさざるを得なくなった時に如実に出てきます

忙しい時でも余裕のある時と同じレベルで仕事をやることは一朝一夕でできるものではありません。実際今回ランチを食べた洋食屋さんは、比較的空いている時間帯に行った時も店員さんの目配りがすごく、こっちが「お水をおかわりしたいなぁ」と思っているタイミングで、すかさず「お水をお注ぎしましょうか」と言われたことがありました。

仕事量が増えてもオペレーションをスムーズに回す。

これを実現するには一人だけ頑張るだけではダメで、社員全員のレベルアップが必要であり、仕事のムダやムラをなくす不断の努力が大事です。

あなたの会社では稼働率100%になっても仕事の品質は変わらないでしょうか?

少なくとも余計な一言のために食事をする前からお客をがっかりさせるようなお店は論外です。

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