知恵の和ノート

2015/04/21

本質を見抜く目を持つ(第59話)

カテゴリー :業務改善

表面的な外見だけで右往左往するのは脆い会社
内面的な本質を見極めて行動するのが強い会社

本質を見抜く目を持つ

「ウチの息子は銀行の『秘書室』に勤めていて・・・」

後々母から聞いた話ですが、私が銀行の秘書室にいた頃、父は人に会うとそのことを自慢していたそうです。

父は普通の会社員でしたが、父の年代にとっては「秘書室=エリート」というイメージがあったのかもしれません。実際、銀行の中においても、秘書室にいる間はどことなく私を見る目が変わってきました。

「岩井ちゃんは、いいよなぁ~」

という同期のやっかみは言葉半分くらい割り引く必要があったにせよ、今まで1度も年賀状の返事がなかった元上司から急に年賀状が届くなど部署が変わっただけで一目置かれるようになったのです。

会社の組織図を書くと、秘書室は役員のすぐに下にあるので、なんとなく「秘書室=エリート」と思われていたふしがあります。

たしかに、私が転勤した当時でも秘書室の中には優秀な先輩社員の方々がたくさんおられました。けれども、私個人に関して言えば、支店にいる時はある程度自分の思い通りに仕事ができたのに、末席の一社員として仕事を一から覚える立場になりました。

また、仕事は朝早くから夜遅くまで。しかも、役員がスムーズに動くためのサポートという仕事柄、急に予定が変更になったり、今日やろうと思っていたことが全然できなかったり、ということもしょっちゅうです。

そして、秘書室に在籍中、たまたま昇格の時期と重なったのですが、その時には昇格できませんでした。

つまり、他人から見れば秘書室に勤めるエリート社員と見えていたかもしれませんが、訳の分からない仕事は増える上に勤務時間は不規則になり、おまけに昇格も1年遅れるなど個人的にはトホホの時代だったのです(笑)。

一方、支店にいる時には、役員は雲の上のような存在でした。

しかし、秘書室の中で役員の方と身近に接していると、「この人、こんなにワガママなんだ!」とか、「支店に対しては偉そうにしているけど、トップの前では借りてきた猫みたい」といった実態もよく分かってきます。

つまり、秘書室で学んだのは、本質を見抜く目が大切ということです。

秘書室に勤めているからといってエリート社員とは限りません。秘書室の末席社員に媚びを売ったってその社員には何の力もありません。部下には威張っている役員も自分の上司の前では腰が低いです。

以前あるクライアント先で営業の社員が「あそこは上場企業だからなぁ」と取引先が大手企業だと交渉前から腰が引けてることがありました。

また、営業のセンス抜群の社長が「どうもメガバンクの人は苦手で」というように最初から弱気な態度だったこともありました。

一方、ある経営者は自社に初めて東大卒の社員が入社したことをすごく喜んでいましたが、他の社員の間ではもっぱら「あいつは全然使えない」という評判が立っていました。

会社の売上規模、所属している部署、その人の肩書きや学歴が気になって、実態を見極めようとする目が曇っていることはないでしょうか。

会社の仕事は真剣勝負。本質を見抜いている方が最後は勝ちます。

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