知恵の和ノート
情報の共有化は意識のすり合わせから(第53話)
社員と社長が同じ風景を違った意識で見るのは脆い会社
社員と社長が同じ意識で違った風景を見るのがしぶとい会社
「ところで、あの結婚式ってどうなったの?」
結婚式場に勤める友人と久しぶりに会った時のことです。
前回会った時に「かなり強烈なお嫁さんがいて・・・」という話を聞かされていました。
突然切れる、エレベーターの中でも怒鳴りだす・・・
といったように、何か自分の気に入らないことがあると、急に暴力的になるお嫁さんがいたそうです。
そんな女性と結婚する男性もたいへんだと思いますが、その結婚式場でも式の打合せの段階からいろいろと気を遣うことが多かった模様です。
式は11月にあったらしいのですが、最終的な顛末を聞いていなかったので、友人と会ってそうそう、そのことを質問してみたのです。
そのお嫁さんが要注意人物であることは結婚式場でも周知徹底されていました。このため、式場側も厳戒体制で臨んだそうです。
そして、肝心の結婚式はどうなったか?
なんとそのお嫁さん、当日は緊張のためガチガチでした。このため、急に怒鳴り散らすこともなく式は滞りなく行われ、無事お開きとなったのです!
普通はこれで、めでたし、めでたし、となる訳ですが、実は結婚式当日、別の問題が発生していました。
その日は問題のお嫁さんの結婚式の他にもう一組結婚式がありました。
そして、そのもう一組の方の問題はお嫁さんではなく、お婿さんの母親。話を聞く限り、どうもモンスターペアレントだったのです!
結婚式当日は各親族宛に担当者が1名ずつ就くシステム。でも、あまりにもその母親がガミガミ怒鳴るので、お婿さん側に就いた担当者は泣き出してしまい、途中でベテラン担当者に代わってもらったそうです。
その母親がすぐ怒るタイプで、要注意人物であることは結婚式場の担当者のうち、何人かは事前に気がついていた模様です。
しかし、先のお嫁さんの情報が社内で共有化され、会社としても万全の体制で臨んだのに対し、後の母親の情報は社内で共有化されていませんでした。このため、もしかすると、どこか対応が手薄だったかもしれません。
いずれにせよ、片方は何もなく無事だったのに対し、もう片方は最後は式場の責任者が出ていって、なんとか事態の収拾を図ったとのことでした。
会社の情報として何を共有化し、何を共有化しないかというのは難しい話です。
先の事例で言えば、お嫁さんの場合は、打合せ等で社員との接触頻度も多かったため、自然と社内で情報共有がなされ、準備も万全でした。
一方、お婿さんの母親の場合。トラブルになりそうな場面に遭遇した社員が少なく、結果的には情報共有が徹底されず、当日の対応が後手に回ってしまいました。
一定の基準を設けて、各人のバラバラな判断に委ねるのではなく、会社にとって大事なことはどんな些細な情報でも拾い上げる。
これは単にルールやマニュアルを決めただけではダメ。全社員が同じような肌感覚を持っていないと、情報の漏れや対応のズレが発生します。
理想を言えば、同じ意識を持つ複数の目が増えれば増えるほど、情報に対する感度が良くなっていきます。
先日、あるクライアントさんから、「会社の人数が増えるにつけ、『求めるところの温度』の差に戸惑います。なので今は時間を共有することで、こちらの考える温度の浸透を試みてはいます」というメッセージをもらいました。
でも、千里の道も一歩から。
我々もそんな前向きに頑張っておられる経営者のお力になれるよう情報感度を磨いて、さらに知恵を絞っていきます。
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