知恵の和ノート
目標の数字は独り歩きするのを前提に、個人の目標と会社の成長を連携する(第52話)
個人の目標が会社の成長と乖離するのは脆い会社
個人の目標が会社の成長と連携するのがしぶとい会社
期末近くになって、社内で話題に上るのは、あといくらで今期の目標を達成できるか?ということです。社員にしてみれば、目標を達成できるかどうかで人事評価にも関わってくるので、みんな必死です。
でも、残念ながら今期の目標を達成しても、それが本当に会社のためになっているのかというと、必ずしもそうとは言えない時もあります。
以前あるクライアントさんで、売上はそこそこ上がっているのに手元のお金があまり増えていないということがありました。
よくよく調べてみると、売掛金がかなり膨らんでいたのです。
その原因はいくつかあったのですが、一つは営業担当者の目標が売上高だったこと。
その会社では受注をもらった時点で営業担当者は売上高としてカウントするというルールを決めていました。
このため、担当者の関心はあくまで受注をもらうこと。それ以降売掛金を回収することにはほとんど関心が払われていませんでした。
結果として、売掛金の回収チェックについては経理任せになっていました。そして、1件当たりの金額が小さく、件数がやたらと多い商品構成になっていたため、売掛金の消込作業に時間がかかり、だんだんと売掛金が膨らんでいったのです。
期末近くに上がった売上高は会計的にはプラスの評価。
けれども、その売掛金の回収が遅れてしまったら、期末近くに上がった利益には税金がかかるけれど、税金を払う源泉となる売掛金が未回収であるため、キャッシュフロー的にはマイナスになるということもありえます。
社員も一所懸命頑張ったのに、頑張った分だけ会社の資金繰りが厳しくなるなんておかしな話です。
最終的には先のクライアントさんは営業担当者の目標のカウントを受注をもらう時から売掛金の回収までに変更した結果、売掛金の残高も徐々に適正なものになりました。
会社の目標はあくまでも会社にとってプラスになるものでなければなりません。
けれども、目標はいったん決まってしまうと、数字自体が独り歩きすることがあります。
ある会社では
最初は成長することを第一に売上高を重視
↓
赤字転落をきっかけに粗利重視に変更
↓
粗利を減らさない経費の増加が目立ったので、限界利益(=売上高-変動費)の意識を徹底
というように、会社の状況に応じて目標設定を微調整していきました。
3月は今期の目標の総仕上げと来期以降の目標の見直しを図る時期。数字だけが暴走しないよう、目標をしっかり見直しましょう。
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