知恵の和ノート

2015/02/17

社長が社長の仕事に専念するのが会社成長の鍵(第50話)

カテゴリー :経営者

問題を社長一人で抱え込むのは弱い会社
問題に社員一丸で立ち向かうのが強い会社

I社長は社長の仕事に専念する

私は9年前の7月にヒーズ株式会社を作って独立しました。

直前まで勤めていたのは、株式会社ジーシーシーというベンチャー企業です。

GPSとコンピューターを組み合せて、バスの運行ナビゲーションシステムや、子供の見守りサービス、コンビニの宅配便管理システムなどの企画・開発をやっていました。

入社後半年かかって2億円を集めましたが、結果的にはその後の2年間でお金を使い果たしてしまいました。

銀行に勤めている時、いろいろな会社が倒産するのを見てきました。

でも、まさか自分の勤めている先が事実上の倒産にまで追い込まれるとは思ってもみませんでした。

しかも、すごくあっけなく・・・・・。

倒産の原因を外に求めるのは簡単です。

取引先を安易に信用してはいけないというのは大きな教訓となりました。

また、原因を社長に求めることも簡単です。

私も最後は「この人にこれ以上ついていくのは無理」と思って辞表を書きました。でも、あの時、私が代わりに会社経営をできたかと言えば、当時はそんな自信はありませんでした。

では、倒産の原因を何に求めたらよいのでしょうか?

一つ言えることは、社長が社長の仕事をしなければ事業は長く続かないということです。

前職では取締役も監査役もいましたが、常時フルタイムで動いていた社員は社長と私を含めた社員2人の合計3名でした。

その時々でもう少し社員がいたり、他社からの出向社員が在籍していた時期もあります。でも、少数精鋭でやるという経営方針の下、軸になっていたのは実質3名だけだったのです。

技術系の会社だったので、技術の詳しい打合せになると、どうしても社長が出ていかざるをえません。また、営業商品企画については社長が得意な分野なので彼の独壇場でした。

では、管理部門はどうだったかと言えば、実は肝心要のキャッシュフローのところは最後まで社長が握ったままでした。

以前経理を任せていた社員が不正して痛い目にあったトラウマもあり、社長は預金通帳を絶対に手放しませんでした。そして、決算作業も自分で入力してやっていたので、私自身も会社の数字を正確に知るのが株主総会の直前だったのです。

途中で業績が厳しくなってきた時に、私も何回か「私にキャッシュフローのところを見させてほしい」と依頼しました。でも、社長は「そのうちに」というようにはぐらかされ、あまり良い顔をしませんでした。

そして、私もへんに遠慮してしまって、強引に仕事をひっぱがすことまではしなかったのです。

このため、会社が源泉税や社会保険料を未払いだったのを知ったのは、税務署や社会保険庁から督促の電話がかかってきた時でした。

結局、会社が事実上の倒産に追い込まれた時、社長は技術本部長で営業本部長で企画本部長で管理本部長という状況でした。このため、社員は限られた情報の中で社長の指示通りに動くしかないというのが実態だったのです。

社長から見れば我々社員が頼りなく思えて、「あいつらには任せられない」と考えていたのかもしれません。そして、社員からすれば「最後は社長がなんとかしてくれる」と厳しい現実から目を背けていた側面があったことは否定できません。

いずれにせよ、社長がいくつもの仕事を兼務で抱えて、社員がやるべき仕事までずっとやっているのは会社としてはすごく脆弱です。

社員数が少ないと、社長がやるべき仕事は増えます。また、社員が頼りないと、実力のある優秀な社長ほど、なんでも自分でやってしまいがちです。

しかしながら、10年、20年と長い単位で見た場合、社長が社員のやる仕事をずっとやっているのは異常です。

弊社では昨年そんな社長をサポートするために、「成長支援部作りコンサルティング」を始めました。

そして、今年は新たに「銀行交渉担当者育成サービス」をリリースしました。

これらの原点は前職の倒産という苦い経験です。

支払の督促の電話が毎日かかってくる日々は思い出しただけでもギリギリします。

そして、私自身としてはああいう事態になる前に、もっとやれること、やるべきことがあったのではという思いはいまだにあります。

だからこそ、社長を社長にするこれが私の起業の出発点です。

社長が社長の仕事に専念できれば、地力のある社長ならきっと会社を成長させられる。

私はそう信じています。

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