知恵の和ノート
ブレーキの限界能力を知る会社は成長が速い(第47話)
攻守の一面だけを見て決断するのは半人前の経営者
攻守のバランスを見て決断するのが一人前の経営者
「『速く走ること』の次に目指したのは『早く止まること』でした。」
これはJR東海が最新型新幹線N700Aについて、ホームページで紹介している時のキャッチコピーです。
N700Aは高性能の「中央締結ブレーキディスク」を採用し、従来必要だったブレーキ距離を約1~2割短縮しています。
時速270㎞で走る新幹線の場合、どのくらいスピードが出せるのかは、いかに早く止まれるかによって決まってきます。つまり、走る速さと止まる早さは表裏一体という訳です。
そして、会社の成長するスピードも単純に
- 営業担当者を増やす
- 広告宣伝にお金をかける
- 新商品を開発する
だけでは速くなりません。
単純に営業担当者を増やしても、経営者の思いや会社の基本方針を理解していないと、思ったように数字は伸びません。
また、仮に新商品を積極的に広告して売り出しても、アフターフォローの体制が整っていなかったりすると、一時的に売上は増えても長続きしないことがあります。
この点、順調に業績を伸ばしている会社の経営者は、業務の流れのポイントを理解していて、「これ以上売上を増やすのはちょっと危ない」とか、「システムで省力化を図って一気に攻勢をかけよう」というように攻守のバランスを上手に取っています。
一方で、世に言うブラック企業などは、社員の勤務実態や労働環境などを気にせず、「とにかく売上を上げろ!」、「なんでもいいから利益を増やせ!!」ということに執着しています。
また、管理面ばかり厳しい会社は「これは前例がないからできません」、「トラブルが発生時の責任はウチでは一切負いかねます」というように、必要以上に凝り固まって、本来得られるべき利益をミスミス逃してこともあります。
この攻守のバランスをとることは難しいことです。
そして、攻の方は経営者も比較的関心が高いかと思います。
一方、守の面から見て
- 年間10,000個だったら今の社内体制で対応できる
- 月間5件までなら一日平均1~2時間の残業でOK
- このリスクについては9割方保険でカバーしている
ということは意外と見落とされがちです。
会社が成長している時には多少の背伸びは必要なので、守の面から見て自社の伸びしろはどのくらいあるのかを知っていると、思い切ってアクセルを踏むことができます。
新幹線も強力なブレーキがあるからこそ、安心して最高速度を出せます。
会社の着実な成長を実現するために、ぜひブレーキの限界能力を把握した上で速度を出すことを心掛けましょう。
もしかすると、営業社員を増やす前に、サポートセンターの人員を増員する方が先決かもしれません。
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