知恵の和ノート
安定志向だからこそあえて変える(第43話)
状況の変化で変わるのは半人前の経営者
自らの意思で変わるのが一人前の経営者
脳科学に詳しい人によると、脳には安定化志向があるそうです。
このため、変わることに抵抗があったり、なかなか変化することができないのは人間としてはごく当たり前の現象という訳です。
私自身は一貫性を重要視するタイプです。
「この前に言ってたことと全然違うじゃん」という人は基本的には信用しません。
また、部下の前ではいかにも「俺はお前に賛成だ」という態度だったのに、上司の前に来ると「私もダメだって思ってたんですよ」と、手のひらを返す人は嫌いです。
そして、これがいざ自分のことになると、一貫性を重視するあまり大きく変われないという状況につながります。
- 昔からこのやり方で続けてきた
- あの先生の教えに従ってやっている
- 1ヵ月前に言ったのと違う結論だからダメ etc.
私の場合、いったん決めたことを続けていくのは比較的得意です。
一方で、
- いったん決めたことを止める
- 決めた方法とは別の方法を選択する
など、変えることは苦手です。
この専門コラムにしても、それまでは「ほぼ毎日メルマガを書く」という習慣をいったん止めて始めました。
でも、最初は「せっかく今までずっと続けていたのに・・・」と、変えることにはすごく心理的な抵抗があったのです。
しかしながら、脳は安定化志向であるという事実を知ってから、私が変化に対して保守的なのも「ある意味、仕方のないことなのかも」と思えるようになりました。
また、自分の内面を深く掘り下げてみると、変わるのが嫌なのは、変わったことに対して外部がどんな評価をするかが怖いという恐れがあった気がします。
会社経営においても、業績の悪化や倒産の危機など、状況が大きく変わった時は今までのやり方や考え方を変えていかざるを得ません。
けれども、目の前に危機がまだ顕在化していない時、「今までのやり方を変えてみよう」「これまでとは発想を変えよう」と自ら動くことは少ないのではないでしょうか。
一方で、たとえ自分や自社が変わっていなくても他人や他社は変わります。このため、去年までのやり方では効果が出なかったり、主力商品の売上が伸び悩むことだってあります。
そう考えると、本当に安定化を志向するのであれば、変わらないのは大きなリスク要因です。
だからこそ、少しずつでも変えることが長くビジネスを続け、会社が成長するために真に必要ではないかと強く感じています。
業績が悪くなって半強制的に変わるのは苦痛を伴います。
一方で、自らの意思で自主的に変わるのは楽しみを伴います。また、変えて上手く行かなければ、また変えればいいだけです。
創業以来400年以上の歴史を有する虎屋さんも毎年少しずつ羊羹の味を変えているとのこと。
私も、そして弊社も少しずつですが、変わりつつあります。
安定化志向だからこそ変える。
あなたの会社も自分のペースで一歩ずつ変わってみませんか。
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