知恵の和ノート
全体像を把握したうえで全体最適を図る(第40話)
自分の目と頭脳だけで独断的に判断するのは半人前の経営者
他人の目と自分の頭脳を組み合せて判断するのが一人前の経営者
3年前に東日本大震災が起こった時、時の首相が「自分が現場に行く」と言い出したことが後ほど問題になりました。
一方、セブン&アイグループの会社に勤める友人から聞いた話ですが、震災が起こった時、セブン&アイグループの中では「幹部は現場に行くな!」という指示が出たそうです。
つまり、被災地をよく知らない幹部が現場に行っても、元の状態を知らないので、被害の正確な実態がつかめない上に、かえって現場が混乱するだけなので、本部から幹部社員が現地に行くことを禁止しました。
そして、現場から最新の情報を迅速に集めることに集中し、本部がその情報を取りまとめた上で、物資の配給など、次から次へと必要な指示を出したということです。
何か大きな問題が起きた時、現場は混乱します。
このため、問題に的確に対応するためには、一歩引いて冷静な立場で全体像を把握することが必要です。
先日ある上場会社の社長のお話をお聞きする機会がありました。(以下仮にAさんとお呼びします。)
Aさんは最初はその会社の業務委託先でした。
そして、とある問題に関して当時の経営陣と一緒に今後会社をどうするのかについて会議を行っている時、ちょうど東日本大震災が起こりました。その会社が入っているビルも大きく揺れ、余震も続いたので、会社内も大混乱です。
ふと社員のことが気になったAさんが会議室を出て事務室内を見渡してみると、社員に対して当時の経営陣は誰1人何の指示をしていませんでした。
「これはいかん!」と思ったAさん。業務委託先という立場だったのですが、社員に対して、ただちに仕事を辞めて帰るよう伝えました。そして、その後、当時の経営陣が退任した際、株主からも依頼があって、Aさんは業務委託先から代表取締役社長に転身されたのです。
セブン&アイグループにせよ、Aさんにせよ、全体像が見えているからこそ、今何をするべきかについて的確な指示ができたのだと思います。
「事件は現場で起こっている!」ではありませんが、お客さんとの接点になる現場は大事です。
- お客さんが何を必要としているか
- お客さんは自社製品にどんな不満を持っているか
ということは現場に出てみないと分かりません。
けれども、会社全体の機能としてみた場合に現場はあくまで会社の中の一部です。
そして、情報が片寄っているために、現場の声が必ずしも会社全体にとっては正しくないこともあります。このため、経営者は時には現場の声に逆らってでも、「こうしろ!」と冷徹な判断を下さなければなりません。
枝葉末節に囚われていると、大きな問題点を見落とす恐れがあります。
会社の中で唯一全体を見渡せる存在が経営者。
あなたは全体像が見えているでしょうか。
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