知恵の和ノート
社内報告のスピードを上げる(第39話)
気合いと怒りで仕事を強引に回すのは半人前の経営者
工夫と仕組みで仕事を円滑に回すのが一人前の経営者
毎年この時期になると、必ずあるのが年末調整の手続です。
サラリーマン時代には総務の人から、「保険会社から来ている書類と一緒に早く出せ!」とうるさく言われたのを覚えています。
独立してからは契約している会計事務所がこの手続をやってくれます。
そして、毎年11月の初旬になると、「年末調整手続きのご案内」が届くのですが、どうも今一つやる気になりません。
ペンディング書類用のトレーに入れたまま、「まあ、今日でなくてもいいか・・・」とついつい後回しにしてしまいます。
実際に手をつけ始めると、10分ちょっとで終わる作業なのですが、なぜか手をつける気にならないのです。
自分の怠け癖はいったん棚に上げておいて、今一つやる気にならない理由を考えてみると、次の二つがあります。
まず一つは、「給与所得者の保険料控除申告書等を記入することで、具体的にいくら還付があるのかがすぐに分からない」ことです。税金の計算に詳しい人は別かもしれませんが、「今年はいくらぐらいお金が戻ってくるのか?」が書類を書いた段階では私にはさっぱり分かりません。
つまり、書類を書くことで得られるメリットが分かりにくいことが上げられます。
それでもまだサラリーマンの時は12月の給与明細を見て、「おっ、今月はいつもより多いぞ!」という楽しみもありました。
しかし、経営者になってからは、「給与の支給額の増加=会社からの支出額の増加」なので、特にこれと言って感慨もありません。
そして、二番目の理由が、提出する書類が手書きで面倒くさいことです。
保険料の控除の金額は種類毎に分けて計算式に当てはめる
合計の金額を別途計算して足し算する必要がある
計算した金額も一部は上限金額が決まっている
項目や数字を書く欄が小さい
というように、要はかなり面倒な書類になっています。
今は書類を作る時はほとんどがパソコンやタブレットを使って入力します。そして、合計金額などはエクセル等を使って自動計算するので、いちいち電卓をたたくことはまれです。
でも、年末調整に関する書類は私が社会人になって以来、30年近く経ってもいまだに手書きのままです。
さて、年末調整の場合はそうは言っても、書類や手続が決まっているので、粛々とやるしかありません。そして、期限までに書類を提出しない人に対しては、「あとは自分で確定申告してね」で済ませることもできます。
でも、これが会社にとって重要な報告書類だったらどうでしょうか?
書類を作る人が「なんでこんなことやらなきゃいけないんだろう」と感じている書類にはどうしても気持ちが入りません。
また、書類を作成するにあたって、「いろいろと注意書きを読まないとちゃんと書けない」と感じる書類はどうしても間違いが多くなります。
社内で作成する書類は
- 目的やメリットを明らかにすること
- できるだけシンプルにすること
がポイントです。
経営者のところにタイムリーな形で情報が集まらないのは、会社の報告書類に問題があるからかもしれません。
今やITを駆使すれば、必要な情報が半自動的に集まる仕組みも構築することができます。
定性的なものは自動化するのはなかなか難しいかもしれません。けれども、定量的なもの、数字に関するものは、社員に別途書類を作らせるのではなく、仕組みの中で自動的に集めるよう工夫すべきです。
そして、社員に書類を作成させる場合は
- 目的やメリットを明らかにすること
- できるだけシンプルにすること
を心がけて情報の収集スピードを上げることをぜひ意識しましょう。
具体的なメリットが分からず、面倒くさい書類は、私のようなへそ曲がりの社員がいると、ついつい引出しの奥で埋もれてしまう恐れが大きいです。
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