知恵の和ノート
組織図を使って社長の仕事を仕分けする(第32話)
社長の多機能化を目指すのは半人前の経営者
社員の多機能化を目指すのが一人前の経営者
「組織図はありますか?」
ベンチャー企業に勤めている時、投資家を回っていると必ず言われた言葉です。
会社の全体像や指示命令系統をチェックするには組織図が便利で役立つという訳です。
組織図のトップには社長がいます。
営業部があって、製造業であれば製造部があります。また、経理、財務、人事、総務といった管理部門も必要です。その他、どの部門に属するかは別として、広報や企画があり、社長のスケジュールを調整する社長室や秘書室があるかもしれません。
もし、一人で会社をやっていたら、これらのすべてを経営者が兼務する形になります。この場合、人件費を抑えられるという点ではメリットがあります。
けれども、経営者が作業に追われている時間に本来であれば実現できたことという点ではかなりのロスが生じています。
月末に請求書を発行するという作業自体、それほど難しいことではありません。優秀な経営者であれば、5分もかからずにできてしまいます。
しかし、その5分を毎月自分でやるのか、他の社員に任せて自分は他の仕事をやるのかによって長期的に見た場合、その差はだんだんと広がってきます。もちろん、自分で請求書を発行している経営者でも、請求書の発行先が5社ぐらいならまだしも、これが10社、20社と増えてくると「ちょっと面倒くさいなぁ」と感じて人に任せるようになります。
でも、私がお会いした経営者の中で「この人、長く事業を続けていけそうだなぁ」と感じる方は、たいていまだ請求書の発行先が数社のうちから請求書の発行は人に任せるということを励行されています。
先日お会いした経営者の方も17年前の創業当時から総務経理のスタッフを1名雇い、請求書の発行&送付作業はそのスタッフにやってもらっていました。
その経営者曰く、「自分にしかできないことに専念しています!」
請求書の発行に限らず、会社の業務は数えるとキリがありません。でも、その中で本当に経営者でしかできないことはほんのわずかです。
一方で、優秀と言われる経営者に限って「あんなやり方では全然ダメだ」「結局は自分でやった方が早い」「あそことの取引は俺が行かないとまとまらない」ということで、社長兼営業部長兼管理部長兼広報部長兼・・・と一人で五役も六役もこなしていることがあります。
中小企業が持続的に成長を続けるには、経営者が自分の得意なことにどれだけ専念できるかにかかっています。
長期的な収益を着実に確保したいのなら、経営者自ら他の人でもできる単純作業や、あまり本人が得意としない仕事に取組むのではなく、早い段階で単純作業や苦手な仕事を他人に任せ、経営者は得意な分野に集中して収益を上げるのが絶対にお得です。
一度会社の組織図を書いてみて、自分はいくつの仕事を兼務しているのかを確認し、まずは
- 引続き自分でやるもの
- すぐに他人に任せるもの
- 将来的に他人に任せるもの
に仕分けすることをお薦めします。
経営者の機会費用は社内で一番高いのです。
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