知恵の和ノート
リスク管理の第一歩はクールダウンから(第28話)
頭に血が上って問題点を見失うのは半人前の経営者
頭を冷やして問題点を把握するのが一人前の経営者
最近日本で話題になっている病気がデング熱です。
熱帯や亜熱帯地域では流行している病気で、昔私がフィリピンに赴任していた時も高熱が出ると、「デング熱では?」ということで警戒されていました。
幸い私はかかりませんでしたが、友人が二人デング熱にかかりました。
一人は自宅療養で治りましたが、もう一人は高熱が続いたので病院に一週間ほど入院。デング熱は現地にいる日本人の間ではできればかかりたくない病気の一つでした。
最近は日本の気候も亜熱帯化しているので、これからは日本でも夏はデング熱への対策が必須になるかもしれません。
ところで、今回デング熱の発生源と思われる代々木公園が一時閉鎖されました。最初は薬をまいて蚊を除去する対策が取られていましたが、患者数が増えるのに伴い、公園の閉鎖までに至った模様です。
これは、公園を閉鎖することによってデングウイルスを持った蚊に刺されるリスクをできるだけ減らす」という対策です。これで蚊に刺される人の数が減るので、デング熱にかかる人の数を抑える一定の効果はあります。
けれども、ご承知の通り蚊は空を飛べます。このため、いくら代々木公園を閉鎖しても、ウイルスを持った蚊が他で人を刺すことを完全に防ぐことはできません。
現にその後代々木公園に行ったことのない人でデング熱を発症する人が出てきたり、代々木公園からさほど遠くない新宿中央公園で感染したと思われる患者も出ています。
このように考えると、公園の閉鎖は、短期的な対策としては有効であるが、長期的な対策としては不十分であることが分かります。
そして、長期的な対策としては
- デング熱に対する正しい知識を身につける
という最低限必要な準備レベルのものもあれば、
- デング熱に有効なワクチンを開発する
という積極的なものから
- 公園や森の中など蚊のいそうな場所には近づかない
という消極的なものまであります。
特にワクチンを開発するといったように、リスクと真正面から向き合う対策はお金と時間もかかります。このため、初期の段階では、抜本的な対策ができるまでにどう対応するかが、問題を更に大きくするか、最小限に留めるかの鍵を握っています。
これは、会社のリスク管理でも同じです。
最悪なのは間違った情報を基に判断して騒ぎをより一層大きくすることです。
今回のデング熱で言えば、パニックになって「都内の全公園を閉鎖せよ!」とか、「外出は一切禁止とする!」といった指示をいきなり出すようなことです。
特にワンマン経営者の中には自分が予想していなかった状況が起った時に、「なんでそんなことになるんや!!!」とやたら周囲に怒鳴り散らす人がいます。
けれども、そんな怒りは逆効果、かえって問題解決を遅らせるだけです。
まずは状況を正確に把握し、すぐにできる対策を着実に実行する。
リスク管理の第一歩はトップの頭を冷やすことです。すぐかっとなって周囲が見えなくなる人は、デング熱対策よりも、怒りの熱を抑える対策が優先です。
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